今日10月4日はいわしの日。

 

 

「1(い)0(わ)4(し)」

の語呂合わせから、

大阪府多獲性魚有効利用検討会

(大阪おさかな健康食品協議会)によって

昭和60年に制定されたそうです。

 

 

今や水揚げ量が減少しているため、

食卓に並ぶことが珍しくなったいわし。

 

 

もはや高級魚になりつつあるいわしを

一聴パフェと融合させたかのような、

視聴者の心をざわつかせるCMをかっぱ寿司は2015年に発表しました。

 

 

 

 

冒頭、

パパ、ママ、坊やの家族連れが

それぞれお寿司の入った皿を手に取り

かっぱ寿司のテーマソングのメロディにのせてネタを紹介していきます。

ママ「ハマチ」

パパ「中とろ」

坊や「甘えびロール」

 

 

 

続いて女子高生。

「サーモン」

「ハンバーグ」

 

 

 

次に女性3人組。

「いなり」

「サラダ」

「サーモン炙り」

 

 

向かって左側のピンクの服を着ている女性が「いなり」と歌うのですが

歌声とその仕草が一人だけ『プロ』の雰囲気を醸し出しており

この時点で少し心がざわつきます。

 

 

 

最後に高齢のご夫妻が登場し、

このネタメドレーを〆ます。

夫「パフェ」

妻「いわし」

 

 

 

紹介冒頭でも記載したようにこのネタメドレーは

かっぱ寿司のテーマソングメロディに合わせて綴られています。

 

 

「か~っぱかっぱかっぱのマークのかっぱ寿司♪」

 

 

この高齢のご夫妻の担当パートは最後の「かっぱ寿司♪」で、

細かくいうと男性のパートはその前半の『かっぱ』の部分です。

 

 

まぐろ、たい、えび、たこ、うに、えんがわ・・・

 

 

数多ある寿司ネタのどれでも当てはまりそうなパートに敢えて「パフェ」を、

いわしの前に入れるとアンバランスになる「パフェ」を、

しかも高齢の男性に紹介させたのはどのような制作者の意図があったのでしょうか。

 

 

僕は特別な意図はなかったのではないかと

考えています。

 

 

おそらく各々に好きなネタを聞き取りして

そのネタをそのままメロディにのせて

歌ってくださいとの指示のみあったのだと

思います。

 

 

そこで男性が自主的に、

確固たる信念を持って

「パフェ」

を選んだのだと考えます。



それを証拠に男性の顔を見てください。

誰よりも良い顔をしています。




お孫さんと回転寿司を食べに来たときに

ひと口食べさせてもらったパフェの味が

忘れられず、

お孫さんとの思い出を呼び起こさせるパフェを

いつも注文するのか。



貧しかった幼少期にはおよそ食べられなかった

アイスクリンの乗ったパフェを食べて、

現在の幸せを噛み締めているのか。



その真意は定かではありませんが、

パフェを選んだ理由、男性の背景への興味が

視聴者の頭のなかを駆けめぐり、

十人十色の考察を生み出すが故に

魅力的なCMとなりえたのでしょう。




CMは15秒のドラマです。



当然演出というものはありますが、

短いが故にその意図を説明する時間のないまま

幕が閉じてしまいます。



そこで生まれる疑問、考察、

そして垣間見られる演者の人間的な部分こそが僕がCMを愛する第一の理由なのかもしれません。



例えばこのCMについて、


「いやいや台本どうりに言わされてるだけ

でしょ?」


「おじいさんに『パフェ』って言わせたら

面白いっていう演出なだけでしょ?」



これを言ってしまえばCMは愉しむことは

出来ません。



短時間でチャンチャンと終わるCMを、

チャンチャンで結論付けずに長時間かけて

その底の底の真意を探る。



これこそCMを愉しむコツなのではないかと

僕は思います。




そういうスタンスでこのCMを見ると、

10倍も20倍も幸せな気持ちになることが

出来るのです。




おじいちゃん、パフェ食べられて良かったね。




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今日7月3日はソフトクリームの日。



 今から69年前、1951年の今日

進駐軍が主催する明治神宮外苑で行われた

カーニバルの模擬店で初めて日本国内で

ソフトクリームが売られ、一般の日本人が

ソフトクリームを口にしたことにちなんで

制定されたそうです。



大人になっても何故か無性に食べたくなり、

高速道路を走っていてたまたまトイレ休憩に

立ち寄ったサービスエリアでご当地のものを

ついつい食べてしまうソフトクリーム。



そんなソフトクリームを今でも気軽に味わう

ことの出来るミニストップのCMに

大仁田厚さんを起用したCMが1993年に

放映されました。





CM開始早々、


「大仁田厚、なめる。」


のテロップとナレーションとともに

“カーン”とゴングが打ち鳴らされます。




「おりゃ!」


の大仁田さんの掛け声とともに、

みるみるうちに小さくなるソフトクリーム。




もう残り僅かになって終わるかと思いきや、




「もういっちょ!」


の掛け声とともに新たなソフトクリームが

現れ、




「おりゃ!」「うりゃ!」


の掛け声とともに食べられるソフトクリーム

の描写が計3回続き、




「ソフトクリームはミニストップ」

というナレーションとテロップが入り
CMは終わっていきます。




既存のプロレスから逸脱した、電流爆破等の
過激な仕掛けによる独自のプロレス団体
『FMW』を立ち上げ、
地道に人気を獲得していった大仁田厚。


いくら声のみの出演とは言えど
その血と汗と涙で赤く濁った大仁田さんを、
敢えて白飛びするほどの真白な背景を持って
純白のソフトクリームのCMに起用した
ミニストップのセンスは見事だと思います。


どす赤黒く濁った男も3本も立て続けに
食べてしまうほど、その美味しさが理解
出来ることを表現したかったのでしょう。



甘くて美味しいソフトクリームのCMには
カッコ良い男性や可愛い女の子を安易に
使えば良いものの
敢えて汗臭い男を起用したミニストップの
この冒険的な姿勢は、
逆転の発想などという安直な言葉では
表現出来ないほどのクリエイターによる
ルサンチマンに溢れる思いが表現されており
大いに賞賛されるべきものであると、
僕は思います。




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机上のモノクロの写真とペン立て。

斜めのラックに並べられているCD。

地べたに置かれた観葉植物とブラウン管TV。


一見乱雑で無造作に思われるけれど、
80年代から90年代初頭に見受けられた
『お洒落』を体現したかのような部屋。



そこで“朝シャン”したのか、顔を洗ったのか
タオルを首にかけてパジャマをきっちり着た
片手にヤカンを持ち新聞を読む男性。



旧式のトースターとトーストされた食パン。



鏡の脇に挟んだ彼女の写真を横目に
ネクタイを締める男性。



その様子が部屋の全景とともに映り、
彼が出勤した後に
きちんと整えられたベッド、
日当りの良いところに移動された観葉植物、
床に置かれたやかん等が映されて、
CMは終わっていきます。







このCMのコンセプトは
『20代からリスクマネジメント』と称し
早期からの損害保険加入を販促することを
目的として、
まだ入社して間もない若者の出勤前の朝の
姿を映し出しています。


イラストを担当したのはかつて同和火災に
20年近く勤務した経験のあった漫画家、
わたせせいぞうさんです。


わたせさんの絵は代表作『ハートカクテル』
や、関西にお住まいの方なら最近阪急電車の
イメージイラストに起用されたこともあり、
広く馴染みのあるものと思われます。


青春時代にバブル期を謳歌できずに
その恩恵を直接的に受けられなかった
僕たちの世代にとって、バブル時代の産物は
鼻につくものが多数あるのですが、
不思議とわたせさんのイラストはすんなりと
心に入ってくるのです。


このCMをしても、一人暮らしの男の生活は
実際にはこんな洒落たなものじゃないだろと
いう表現をしているのですが、
そこから嫌らしさや鼻持ちならない思いは
あまり湧きません。


それはひとえに、このわたせさんのイラスト
から滲み出る独特の温かみを持った魅力の
為せる業なのでしょう。


寧ろ、良い時代だったんだなという憧憬すら
抱かせるほどです。


このCMは1993年のバブル崩壊時に
放映されたものであり、当時の情勢を振り
返ると多少の時代錯誤感は拭えませんが、
わたせさんのイラストだからこそ成立した
作品なのだと僕は思います。



今、改めて原画展を見に行ったり
ハートカクテルを読み返しても
わたせさんのイラストは僻み根性を出すこと
なく、それをすんなりと受け入れられます。


その理由は一見、時代に囚われているように
思われがちだけれど、
普遍的な人間の内面をきっちりと描いている
わたせさんの画風がそうさせる為でしょう。



今日は明石家さんまさんの誕生日。


御年65歳になるさんまさんは今でもTVスター
として第一線で精力的に活躍されています。


今から33年前の1987年に放映された
レナウンのオリジナルブランド『CHARGE』
のCMは、
当時32歳の関西弁を巧みに操るコメディアン
明石家さんまを起用した斬新なものでした。



真っ白な背景にサッカーのキックをする
動作をエアジェスチャーで行うさんまさん。



ヘディングをする動作や、



審判の動作、



スローイングや



華麗なドリブルのステップと、
数々のサッカーのエアジェスチャーを展開
していきますが、
さんまさんの口から発せられる言葉は
ありません。



そしてシュートを打つ動作をしようとした時
さんまさんは動きを止め、



カメラ目線になり初めて言葉を発します。


「チャージしてまんねん。」



そしてそのままボールを蹴る仕草を見せる
さんまさん。



そしてその後はキーパーがボールに飛びつく
動きをして、



ボールを外したキッカーなのか、
ボールを止められなかったキーパーなのか、
悔しがるさんまさんの姿を映しながら
CMは終わっていきます。




当時、世界最大級の売上高を誇った超一流
アパレル企業のオリジナルブランドのCMに
関西出身のコメディアンを起用し、
しかもその決め台詞にブランド名の入る
「チャージしてまんねん」
という関西弁を使用させるという演出は、
今の価値観では推し量れないほど
当時としては画期的で冒険的なものです。


80年代に入ると既に関西以外の地域在住の方
にもテレビやラジオで馴染み深くなり
珍しくはなくなっていた関西弁でしたが、
そのイメージは未だ「でんがなまんがな」の
野暮ったいものでした。


そのイメージを一新させたのが誰あろう、
明石家さんまさんです。


オレたちひょうきん族や笑っていいともで
絶大なる人気を獲得した後にさんまさんが
出演したドラマ『男女7人夏物語』で見せる
格好良い姿から発せられる関西弁に、
人々はそれまでのイメージを覆させられた
のではないでしょうか。


それが一流アパレル企業、レナウンの
オリジナルブランドのキャラクターに
さんまさんがその関西弁とともに起用される
という結果に繋がったのでしょう。


野暮ったい関西弁をクールで憧れの関西弁、
という様に『一流ブランド』に仕立て上げた
のは明石家さんまさんだと僕は思います。



今日で65歳を迎えたさんまさん。


他の娯楽メディアが台頭するなか、
テレビの力を信じて突き進む姿には今でも
格好良さを感じて憧れすら抱きます。


いつまでもお元気で、
格好良く関西弁で喋り倒す『お笑い怪獣』と
してご活躍いただきたく思います。



今日7月1日は銀行の日。

 

 

1893年の今日、普通銀行に関する法規の基礎

となる『銀行条例』が施行されたことに因み

制定されたそうです。

 

 

この銀行の日が制定されたのはバブル崩壊の

影が迫ってきた1991年。

 

 

危機感を覚えた、金融専門誌を発行する

日本金融通信社、通称ニッキンにより、

『金融を通じて利用者・国民経済の安定的な

 発展に貢献する』

という銀行業の原点に立ち返ろうという目的

を持って、制定されたそうです。

 

 

結果的にバブル崩壊の影響を受けて、

それまでは銀行がそうなるとは想像だに

出来なかったような倒産、合併が立て続けに

巻き起こった銀行業界。

 

 

そのなかでバブル崩壊を予知するように

不況の到来前に誕生したにも拘らず、

結果的にその影響を受けたせいで儚く短命に

終わってしまったのが『さくら銀行』です。

 

 

 

 

太陽神戸三井銀行。

 

 

神戸に本店を構える都市銀行『神戸銀行』と

東京に本店を構える都市銀行『太陽銀行』が

合併し1973年に誕生した『太陽神戸銀行』。

 

 

そしてその太陽神戸銀行が、

三井グループの中核を成す『三井銀行』に

吸収合併されて1990年に誕生したのが

『太陽神戸三井銀行』です。

 

 

まるで合体ロボのように積み重ねられていく

長い長い銀行名に内外から批判があったか

なかったか、

 

その太陽神戸三井銀行が、誕生から2年後の

1992年の4月1日に『さくら銀行』に改名

することを告知するCMです。

 

 

当時、NHKの「フランス語講座」に出演して

いたフランス出身のモデル、ジュリー・

ドレフュスをイメージキャラクターに、

松田聖子さんの『チェリーブラッサム』を

テーマ曲に起用して放映されました。

 

 

 

美しく咲き誇る桜の花のイラストを背にして

ジュリーが指を鳴らすと、

 

 

 

『太陽神戸三井銀行』の文字が、

『さくら銀行』に切り替わります。

 

 

 

そして、

「もうすぐ、さくら。」

 

というジュリーの言葉をもってCMは終わります。

 

 

 

 

その名のとおり、

桜の花のイラストをふんだんに使用して

チェリーブラッサムをBGMにした華々しい

告知CMとともに誕生したさくら銀行。

 

 

しかし、現実はこのCMのように華やかな

ものではありませんでした。

 

 

旧太陽銀行、旧神戸銀行、旧三井銀行出身者

の間に生じた軋轢や

バブル崩壊による旧太陽神戸銀行の不良債権

のために

誕生直後から問題が頻出したさくら銀行は、

結果的に2001年、同じ旧財閥系の住友銀行と

合併することにより『三井住友銀行』となり

その単独での寿命は事実上、短命にて終焉を

迎えてしまったのです。

 

 

 

春に美しく咲き誇る桜もその季節を過ぎると

儚く散ってしまいます。

 

 

今改めてこの華やかなCMを見ると、

その後のさくら銀行の辿る運命が実際の

桜の花と重なり、

胸が締め付けられるような思いを抱き、

何とも言えない寂寞に包まれるものです。

 

 

 

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ポップな効果音とともに
お侍さんが城下町を歩いている様子が
可愛らしい漫画絵によって描かれています。



お侍さんは見すぼらしい格好をした
サングラス姿の男に
「あたいはだれだい?」
と、早回しのような声で呼び止められます。



お侍さんが男のサングラスを取り、
「ふうせんガムすけだろう」
と、同じく早回しのような声で応えると、



男は身につけていた見すぼらしい服を脱ぎ、



ふうせんガムを膨らまして、



不思議そうに見つめるお侍さんにお構いなく
浮かんでいきます。



そのまま空高くに浮かび上がった男が
お日様に見守られながら風に流されていき、



カラスの鳴き声を背に受けながら飛ぶ様を
映しながら、

“しみじみ。”

というテロップが画面に出されて
CMは終わります。




ポップな絵柄に何ともシュールな内容の
アニメーションで綴られたCMです。


CMの最後に出される画面には、

製作 讀賣新聞
企画 宮崎駿
原作 杉浦茂
演出 宮崎吾朗
作画 大場加門
制作 スタジオジブリ

の文字が見られます。


原作の杉浦茂さん。


戦前から戦後にかけて漫画を描き続け、
後進に多大なる影響を与えた漫画家です。


ポップな絵柄で構成されていると思いきや、
急にリアルでおどろおどろしい絵柄を挟む
唯一無二の奇想天外な漫画紙面に
所狭しと散りばめられたナンセンスギャグを
独特な言葉で彩るその作風は
シュールギャグ漫画の祖と讃えられるべき
存在であり、

赤塚不二夫、みなもと太郎、日野日出志、
花輪和一、いしかわじゅんなど
多くの偉大な漫画家の先生達に影響を与え、
手塚治虫さんまでも彼の漫画には一目置いて
いたと言われている程です。


読んでいて心躍りながらもどこか安心感を
得ることのできる杉浦さんの漫画は、
初版が刊行されて60年経った今でも充分に
楽しめる、
というより寧ろ今読むと逆に新鮮さを感じる
ことの出来る作品ばかりです。


そんな杉浦さんの漫画が織りなす世界が、
前述した漫画家さんたちと同じく彼の影響を
受けた1人である宮崎駿さんによる企画、
長男である宮崎吾朗さんの演出、
スタジオジブリの制作によって、
読売新聞のCMとして60年の時を経て現代に
カラーアニメーションとして蘇ったのです。


杉浦さんの世界観を忠実に守られた
その作品から宮崎駿さんの杉浦さんに向ける
リスペクトの思いが如実に現れています。


『杉浦茂』という偉大なる漫画家の存在を
テレビCMにて放映することで現代に生きる
幅広い人々に遍く知らしめ、
貴重な映像記録として残していただいた
宮崎駿さんと読売新聞には感謝しても
し尽くせない思いです。



古書店等で杉浦茂さんの作品を見かけたら
騙されたと思って是非読んでみてください。


その世界観に一気に引き込まれ、
読後にはえもいわれぬ満足感に包まれます。



王子様の如く純白のベッドで横たわる
アインシュタイン・稲田直樹さん。



シルクのパジャマを見に纏った稲田さんは
起き抜けの伸びをしながらオットコマエな
発言をします。



バナナをむしゃむしゃと頬張ったり、



シャワーを浴びた後に濡れた髪をタオルで
拭いたり、



大型犬を呼び込んだはいいものの、
上に乗られて鬱陶しそうな顔を見せながら
オットコマエな発言を続けて、



最後には、

最高にオットコマエな発言を残してCMは
終わります。




女性向けの全身脱毛サロン『KIREIMO』の
CMですが、
初めて見たときはあたかも白昼夢を見ている
かのような錯覚に陥ったほどの大きな衝撃を
受けました。


果たしてこのCM内容が視聴者を脱毛サロン
に誘導させる直接的な効果があるのか否かは
さておき、
商品の認知度を高めて集客を図る販促効果は
間違いなくあるであろうCMです。


逆転の発想、などという簡単なひと言では
片付けられない作品です。



アインシュタイン稲田さん。


彼の個性的な顔に関する子ども時代から今に
至るまでのエピソードは事欠かなくて
そのどれもが話し方によっては同情をして
しまうようなものなのですが、
彼の『芸人』としての話し振りによって
全てが笑いに昇華されていくのです。


それは稲田さんの芸人としての力量もさる
ことながら、
ひとえに彼の持つ『オットコマエ』な内面の
為せる業なのだと思います。


全てを受け入れて決して悲観的にならず、
いともサラリと笑いに昇華してしまう
その姿は芸人として何とも魅力的であり、
人間としても見習うべき姿を表してくれて
いるようです。


僕が稲田さんのCMでの発言を形容するのに
『イケメン』という言葉を使わず、
『オットコマエ』という言葉を使ったのも
彼の内面から滲み出るものを表現するには
『イケメン』という言葉よりも適切だと
自然に感じられたせいなのです。


そして、
『男前』ではなく『オットコマエ』なのは、
稲田さんが芸人として持つ矜恃を考えると
『男前』という言葉を当てはめると逆に失礼
に当たるのではないかと感じるからです。


そのような魅力をウリにしていないであろう
芸人さんに対して、何とか言葉を崩してでも
その魅力を形容したいという苦肉の策が
『オットコマエ』という表現なのです。



なにはともあれ、このKIREIMOのCMは
オットコマエな芸人、稲田さんの魅力をこれ
でもかというほど堪能できる作品なのです。



今日6月30日はアインシュタイン記念日。



1905年の今日、当時スイス連邦特許局の技師

だったアルベルト・アインシュタインが、

『相対性理論』に関する最初の論文を

ドイツの物理雑誌に提出したということから

そう呼称されているそうです。



「熱いストーブに手を載せると

 僅かな時間でも長時間に感じるが、

 可愛い女の子と長時間一緒にいても

 短時間にしか感じない。」


という僕たちが日常感じている『相対性』を

基本として宇宙の謎を解き明かす鍵となる

理論を予言したアインシュタイン博士。



その他も第三次世界大戦について問われると


「第三次大戦については分からないが、

 第四次対戦においては石と棍棒で人々は

 戦い合うだろう。」


という予言をしたとされています。



そのように数々の未来予想図を描いてきた

アインシュタインが、

先日NHKの企画によりAIで蘇った美空ひばり

さんのように蘇り、ゲームを楽しむCMが

かつて放映されました。





“3DO REAL”



日本国内ではソニーのプレイステーションや

セガのセガサターンに先駆けて

アメリカの3DO社が開発して松下電器から

発売された、

当時最先端の32ビットゲーム機です。



スーパーファミコンやメガドライブといった

16ビットCPUを搭載した家庭用ゲーム機が

それまでは主流であったのに対し、

データ容量や音質、画質が格段に向上した

32ビットゲーム機である3DOリアルの登場は

大々的にテレビや雑誌等で報じられるほど

華々しいものでした。



そして、その未来を象徴する様な次世代

ゲーム機のイメージキャラクターに

松下はアインシュタインを選んだのです。




画面に登場するCGにより蘇った
アインシュタイン。


そして彼に語りかけるように

「お待たせしました博士。」

というナレーションが入ります。



「これが超ゲーム体験、3DOリアルです。」

そして現れるモニターとゲーム機本体。



モニター画面に映し出されるのはいかにも
洋物ゲーム、洋ゲーといったグラフィック。



「うひょー!」と言いながらコントローラー
を握るアインシュタイン。



次にアインシュタインがプレイしている
様々なゲーム画面が流されていき、



いよいよCMが終わる時間が差し迫り
「博士、そろそろお時間です。」
というナレーションが入って、
「なんか言った?」

とアインシュタインが惚けて応えるシーンで
CMは終わっていきます。







最後の画面に見られるように、
本体標準価格54,800円という非常に高価な
価格設定により販売された3DOリアル。


開発元の3DO社の、ゲーム機としてではなく
情報家電として販売するという意向に即して
高価な価格設定をせざるを得なく、

また他のゲーム機とは異なりゲームショップ
ではなく松下電器の家電専門店である
「ナショナルショップ」での販売も主として
行われたことで積極的な値引き販売が出来
ませんでした。


そして日本での洋ゲーの不人気も相まって
3DOリアルは残念ながら、後に発表された
プレイステーションやセガサターンに敗北を
喫することになったのです。



未来を見据えてきたアインシュタインですが

果たしてこの3DOリアルの未来は予知出来

なかったのでしょうか。



僕はそうは思いません。



マルチメディア端末としての3DOリアルは

非常に画期的なものであり、

後に続くプレイステーション2やWiiに繋がる

偉大なる先駆者であると言っても過言では

ない存在なのです。



そのゲームの更なる進化をも、

アインシュタインは見越していたであろうと

考え、松下電器は彼をイメージキャラクター

として起用したのではないか。


と彼らの未来である今現在の情勢を鑑みると

過去のCMというものはより意義深くなり、

それをより楽しむことが出来るのです。




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ビートルズの日本公演において前座を務めた
ザ・ドリフターズ。


大スターを後に控える張り詰めた空気のなか
1分15秒という極めて短い持ち時間で
披露された曲は『のっぽのサリー』、
そして昂然とリードボーカルを務めたのは
仲本工事さんでした。


このビートルズ公演で注目を集めたドリフは
スターダムへと駆け上っていくのですが、
それはリードボーカルの仲本工事さん無く
しては為し得なかったものでしょう。


そんな仲本さんがドリフターズの絶頂期に
単独で出演したナショナルのビデオデッキ、
マックロードのCMです。




「わっせ、わっせ。」

自らがハードルを跳ぶ姿を映している
テレビモニターとマックロードを隣に、
お馴染みの体操ルックスで駆け足をする
仲本さん。


「ナショナルの新しいビデオ、
 マックロードSSは、」

「倍速早送りもー!」

マックロードの倍速早送りボタンを押して
早送りになるモニターの映像と同じように、
素早い動きで走り回る仲本さん。




「静止も。」

次に静止ボタンを押してまたモニター映像と
同様に動きを止める仲本さん。



そして、

「コ・マ・オ・ク・リ・モ・
 デ・キ・マ・ス・ヨ」

最後はコマ送りになるモニター映像とともに
コマ送りのようなカクカクとした動きを
仲本さんが見せながらCMは終わります。





このCMが放映されたのは1978年。


ドリフから荒井注さんが脱退したことにより
志村けんさんが新たに加入した4年後です。


1976年に『東村山音頭』が大ヒットし、
加藤茶さんとのヒゲダンスで絶大なる人気を
獲得した志村さんの姿を見て、
それまでの自身の立ち位置から一歩引いた
スタンスを取るようになった仲本さん。


その仲本さんがこのCMで見せる姿には、
コメディアンとしての矜恃が現れている様な
気がするのです。



ドリフのコントを見ている時、
志村さんや加藤さんで大笑いしながらも
仲本さんがいなければどことなく寂しく、
物足りなさを感じるものです。


それは仲本さんの持つコメディアンとしての
『存在感』、
そして人間としての『安心感』
の為せる業です。



ドリフターズを扇に例えるならば
志村さんや加藤さんは華々しい『面』、
皆を纏めるいかりや長介さんは『要』、
そして目立たずとも扇を支えて、それが
なければ扇が成り立たない『骨』であるのが
高木ブーさんと仲本工事さんなのでしょう。



『いぶし銀』という言葉では片付けられない
ほどの大いなる魅力が、
仲本工事さんにはあるのです。



宝酒造から発売されていたフルーツドリンク
『すりおろしりんご』を飲み、
「は〜、りんごすった〜。」
と声を上げる女子高生。



すると隣で写真を撮影していた外国人が
振り返り、
自らを指差して彼女たちに伺います。

「リンゴ・スター?」


偉大なるビートルズのドラマー、
リンゴ・スターです。



すると、女子高生たちは持っている
すりおろしりんごを指差して応えます。

「ノー!りんごすった!」


その勢いに気圧されるリンゴを映した後、
リンゴ自身がすりおろしりんごを手にして
「りんごすったー。」
と戯けて言ったところでCMは終わります。






ジョン・レノン、ポール・マッカートニーと
いう強烈な個性を示す2人を前にして
ジョージ・ハリスンとととに地味な存在と
して扱われがちですが、
ビートルズサウンドを成立させる為には
彼の存在が欠かせなかった偉大なるドラマー
リンゴ・スター。


世界的ミュージシャンの彼が日本のCMに、
しかも自身の名前を文字ったダジャレを扱う
作品に出演したことは、
懐が広く、多彩な引き出しを見せるドラム
演奏に繋がる人柄を如実に表しています。


意を決してオファーをかけた宝酒造、
それを引き受けたリンゴ、両者とも実に
お見事なCM作品です。



大々的に人気を博すスターの魅力はもはや
言わずもがなですが、
それを支える『縁の下の力持ち』的な存在
にも底知れない魅力を感じます。


ビートルズという扇の華に彩られた『面』
の役割はジョンやポールに任せて、
自らは扇をしっかりと成立させるべく『要』
の役割としてグループを支えてきた
リンゴ・スターの戯ける姿は痺れるくらい
魅力的なものです。