面倒くさがりな一庶民の吾輩より、
金融畑に長年勤務している身として、
何回かに分けて独断と偏見を述べる、
というシリーズの第7段。

概要は第1回目に記しているので、
ご興味あればご覧あれ。



・投資の意味をきちんと理解して。


前回は投資は資産が減るリスクがあり、

元本保証されている預貯金とは別物。

リスクがあるため知識経験を必要とし、

そのリスクを承知で積極的に攻める物。

もしリスクを許容できない場合は、

世間の煽りは無視してまずは預貯金で、

生活に困らない程度の資産を堅める、

つまり守りをしっかり整えるのが先。

という事を書いた。


補足をしておくと、

決して投資が危険だという事ではない。

これぐらい迄の損失は許せるといった、

自分のリスク許容度を知らず、

投資商品の直近3ヶ月〜2年間の値動き、

所謂中期トレンドを知らず、

更に5年以上の値動きとその時々の背景、

一口に長期トレンドを知らず、

無知なままの安易が危険なのである。

知識が乏しくても経験が身につくなら、

また額面上損失を勉強代とできるなら、

それは有益な投資である。


ここで投資の知識と経験の話に戻すが、

結論から先に言うと「正解」は無い。

リスク許容度も求めるリターンも、

更に投資先の性質も千差万別だからだ。

だからといって何時迄も勉強ばかりで、

中々行動に移らないのも良く無い。

経験による実践的知識を得るためにも、

行動は早い方が望ましい。


じゃあ投資初心者は一体、

どないせえっちゅうねん⁉︎ってなるが、

吾輩的にまずは最低限の知識、

利益損失やリスク分散の理屈くらいは、

しっかりと理解するべきだと思う。

当然だが投資の鉄則は、

買った値段より高くなってから売る。

その利ざやが「利益」となる。

反対に買った値段より安い時に売ると、

回収分の逆ざやが損失になる。

まぁ先に高く売って後から安く買戻す、

玄人向けの信用取引というのもあるが、

投機に近い性質なのでこれは割愛。

売買が1回ずつならシンプルだが、

これでは伸るか反るかと、

損失リスクも5割の超ハイリスク。

そこで出てくるのが分散投資という、

リスクを分散し薄める投資方法である。


分散投資の代表は2つある。

まずは投資先を増やす、

つまりAのみに投資をするのではなく、

B.C.D.Eと満遍なく資金を分散させる、

1番オーソドックスな投資方法。

しかし注意しなきゃならないのが、

只投資先を増やしゃ良い訳じゃ無く、

例えば全て違う業種だったり、

景気や為替の影響有無が違ったりと、

性質の異なる分散をしないといけない。

投資先が全て同じ性質の場合、

共倒れのリスクが生じて結局は、

リスク分散になっていないからである。


次に投資の機会を増やす、

つまり資金を1回で満額注ぎ込まずに、

敢えて少額に刻んで時間を分散させる、

これまたオーソドックスな投資方法。

時間を分散させる事で、

高値の時と安値の時が入り混じり、

平均取得単価の中和が期待できる。

ちなみにこの分散投資の方法に加え、

毎回の投資金額も一定にした、

ドルコスト均等法は超有名である。

通常はこの2つのリスク分散を併せて、

広く長く投資は行うものである。


分散投資の流れで投資信託にも触れる。

簡単に言えば1つの商品で株や債券等、

複数の投資先に自動的に分散投資され、

かつ運用も行ってくれるって代物。

なので自分で株を買うより、

用意する資金も時間もハードルは低い。

ただし商品価格(評価額)の上下は、

株の様にリアルタイムでは無い。

またその上下に関わらず一定のコスト、

毎月の信託報酬や購入売却時手数料等、

それら負担が生じる事には留意したい。

そして信用度(格付け)の低い商品を、

これまた安易に選んだりすると最悪、

運用資金ショートで強制ロスカット、

償却という安い価格で円に戻される事、

即ち損失確定して退場も起こり得る。

なので確かに投信は初心者向けだが、

放ったらかしOKなんてエセ情報を、

決して鵜呑みにする事の無い様に!


本日の最後に平均取得単価にも触れる。

評価損益と実現損益と簡単な算数の例。

ある時株価100円の株を100株購入し、

その株価が200円の時に100株再購入。

合計200株で時価200円なので、

その時の資産価値は40,000円となる。

実際の購入資金は30,000円なので、

差額10,000円の利ざやが評価損益。

そしてこの時点で株を売って円に戻し、

差額10,000円を確定すると実現損益。

実際にはコストや税金等がかかるが、

仕組みを分かり易くするために割愛。

通常評価損益の計算は、

株価=1株の時価が用いられその際に、

購入資金÷株数の1株購入価格が必要。

上の例で言えば150円となる。

この150円が平均取得単価であり、

株価との差額×株数で評価損益が出る。

ここで気付いて欲しいのが、

株価が100円から200円に上がった際、

高くなった200円で買い増しして、

平均取得単価が上がったにも関わらず、

評価上の利益は出続けているという事。

そして株数(口数)も増えているので、

配当利益の期待値もより有利になった。

逆も然りで株価が50円に下がった際、

その安くなった株を買い増しして、

平均取得単価を下げて株数を増しても、

評価上の損失はその時点では消えない。

勿論平均取得単価は低い方が良いので、

株価が下がったときこそ買い時である。

だが評価上の損失を埋めるための、

所謂難平(ナンピン)という行為は、

思っている程の損失軽減効果は無く、

寧ろ集中投資になってしまうため、

損失を拡大するリスクの方が大きい。

なので平均取得単価を下げる事と、

評価上の損失を埋める事は全く別物、

という部分もしっかりと心得ていたい。


今日はここまで。