仕事を終えた瞬間、再び場面は一転した。(夢なのでね)


ホームで出会った4人の女たちと、僕とすいせーは西日暮里駅にいた。
全員、衣服も纏っている。


ふと時計に目をやった瞬間、僕は声を上げていた。
『あぁ、もう帰れないじゃんっ!!!』


既に1時を回っており、そもそも、ホームにいること自体が変なのだ。


すると、ショート髪の女がこう言った。
『うち来る?』


僕は安堵した。
さすがに野宿は嫌だ。


すると、別の女が言った。
『いやらしいこと考えたでしょ?』


『そんなわけねーだろ。ばーかばーか!!』
ムキになってしまった。


4人の女は笑い出し、
『じゃあ、行こうか!』と駅を出ることになった。


暫く歩き、バス停の前まで来たところで、ショート髪の女は言った。
『じゃあ、私たちはここでバスに乗っていくから、あなたたちはあっちのバス停から乗りなさい。』


そう言いながら、50m程度先にあるバス停を指差していた。
一緒にバスに乗らないことに疑問を持たず、僕とすいせーは歩き出した。


バス停の前に人が何人かいる。
中学生くらいだろうか?5、6人の少年たちがたむろしている。


多少怖かったので、少し離れた場所でバスを待つことにした。
すると、少年たちは道路のど真ん中でキャッチボールを始めた。
その光景が楽しそうで楽しそうで、いつのまにか僕もその輪に加わっていた。


最初はキャッチボールをしていたのだが、最終的に、誰が一番窓ガラスをボールを投げて割れるかの競争になっていた。
僕はバリバリ割ってやった。
これでもかというほど割ってやった。


その途中、僕は夢から覚めてしまった。
時計は朝の5時をさしていた。


『二度寝決定だな。』


See You Next Dream!!!
僕たちを先導するように、オッサンが前を歩いていく。
それに続くように一列になって歩き出す女たち。


暫く歩くと場面は一転する。(夢だからね)


そこは、民宿の大宴会場のようだった。
いつのまにか女たちは衣服に身を包み、せかせかと宴会の準備をしている。


オッサンは僕とすいせーを呼んだ。


『おい、お前ら。こっちこい。』


ついていくと、そこは別の大宴会場だった。
オッサンは言う。


『ここでは俺が絶対だ。まずは働け。』
『お前らの仕事は、全ての卓の小皿に、醤油を注いでいくことだ。』


そう言うと、オッサンは僕たちに手本を示すかのように醤油を注いでいった。


つっこみどころはたくさんあった。
【その1】セカンドバックを小脇に抱えたまま醤油を注いでいる
【その2】小皿から小皿へ醤油を注いでいるのだが、卓へ移動している最中も醤油を傾けているので、こぼれまくっている
【その3】卓の数が異様に多い(500卓は悠に超えている)


全ての事柄を胸にしまい、僕とすいせーは働き出した。


オッサンを見習い、僕らは醤油をこぼしながら注いだ。
その醤油さしは不思議で、いくら注いでも中身がなくならないものだった。


しっかり働いている姿を見て、オッサンはオッサンのくせに満面の笑みをこぼしている。
その顔と一刻も早くサヨナラしたい僕は、一心不乱に仕事に取り組んだ。


続く
階段に足をかけた瞬間の事だった。


「カツン、カツン、カツン」


上から誰か降りてくる。
踏み出した足を引っ込め、上からくる誰かを待つことにした。


降りてきたのは、ショート髪の小柄な女性だった。
彼女を見送り、僕は階段を再び上ることにした。


少し上りだした所で、再びあの音が聞こえてきた。


「カツン、カツン、カツン」


またか。
人一人が通るのがやっとな階段なので、僕は再び階段を下ることにした。
階段を下り終え、階上へ目を移した瞬間、僕は絶句した。
降りてきたのは、上半身裸の女性なのだ。


その女性は特に気にすることもなく、僕の目の前を通り過ぎていった。
しばしその女性が歩いていく後姿を見送ったが、周りの人はそんなことを気にかける様子もない。


ふと腕時計に目をやると、23時34分をさしていた。
家に帰るには、この階段を上らなければと無性に感じている僕は、再び歩を進めようとしたが、案の定、階段を下る音が聞こえてきていた。


「ヒタ、ヒタ、ヒタ」


もう、うんざりした。
再び降りてきたのは、下半身裸の女性であった。


その女性も、前者に倣うかのような姿勢で僕の目の前を通り過ぎていった。
こうなれば、次は全裸が来るんだろう?と勝手に想像していたが、予想は裏切られた。


「ヒタ、ヒタ、ヒタ」


降りてきたのは、全身切り裂かれた服を着ている、ボロボロな女性であった。
足取りは覚束なく、今にも倒れてしまいそうだ。
いつのまにか階段への興味は削がれ、彼女について行こうと歩を進めていた。
丁度5m程度の距離を取りながら、彼女の後をつけていく状態である。


暫くホームを歩いていると、ボロボロな女性に言い寄るオッサンが現れた。
容姿や、セカンドバックを抱えている姿からは、もはや任侠道の匂いしかしなかった。


その場をすぐに去れば、この物語は別の方向へ流れていたのだろうが、
つい、傍観してしまったことが運の尽きだった。


オッサンは僕に気がつき、ボロボロな女に耳打ちをした。
すると、ボロボロな女が僕に近づいて来るではないか!


とてもソッポを向ける状況ではない。
明らかに僕を見つめている。


ボロボロな女は僕にこう告げた。
『あんた達の服装は、ここではあの人を苛立たせるようよ。私に付いてきなさい。』


言わんとしていることが分からず、ポカンとしていた僕の腕を引っ張り、
気付けば僕は改札を出ていた。
すいせーは、そんな状態でも一言も発さず、僕の後を付いてきていた。


改札を出たところで、見慣れた顔ぶれが僕たちを待ち構えていた。
ショート髪の女、上裸の女、下裸の女、オッサン。


長い長い夜が始まりを告げた。


続く
キーーーーッ。


電車の停止音に眠気眼で目をこする。
連夜遊んでいたツケが回ってきたようだ。


ふと顔をあげると、その日一緒にいた記憶のない友人がいた。
『すいせー??』


彼は何も言わず、電車から降りようと僕を促す。
そこがどこかも確認せずに、僕は慌ててホームへ飛び出した。


『ごめん!ありがとう!疲れてたみたいだな。』


いつもと知らない駅にいることに気付いたのは、ものの数秒もかからなかった。


『西日暮里?』


僕はどうしてここで降りたのだか分からず、困惑した表情で彼に振り向いた。
しかし、彼はそんな状況を察することもなく、ただ一点を指差していた。


そこには、

ホームには似つかわしくない 、一本の細い階段があった。
見上げても、どこに続いているかが全く見えないソレに、なんの躊躇いもなく、一歩を踏み出した。


続く