6月24日 月曜日
8時・・24.6℃ 3時・・33.9℃
黒猫は、今日も姿を見せなかった。
11時5分頃
スーパーマーケットへ買い物に行って帰って来て、玄関の前にバックで止めて、トランクから買い物袋を家の中に運び終え、ドアを閉めようとしていたとき、廊下に居た家族が言った。
「かあさんが帰って来たから、黒猫が来た。」
と。見れば、彼女が、庭の緑の芝生の西寄りを、てってと走って来た。こちらに来るかと思ったら、真っ直ぐに廊下の方へ行った。車が玄関前につけてあるから、通れないと思っていたのかもしれない。
車を車庫に入れて、もう来ているかもしれないと思いつつ、戻って来て、木戸の手前で玄関の方を見た。と、彼女は、通路に座って居た。その様は、芸術的だった。前足を斜に揃えて、スマートに座り、目を丸くしてじっと見ていたのだった。ただ、首の辺りが、ずる剥けていて「、やたらひょろ長く、ダチョウのようだった。昨夜の手の感触の証明が、まざまざと見えていて、切なかった。
私が、「おいで!」と言うと、彼女は、すすすうっと寄って来た。それで、私は、立ったまま手を出して、彼女の頭を撫でようとした。と、彼女は、するっと後ろに引っ込めた。そして、ささっと玄関の方へ行った。高い位置から撫でられるのは、もともと好きではなかった彼女だが、このときは、如実に不快感を表した。
「くう、ごめん。ちょっと待ってな。」
と言って、私は、部屋に戻った。着替えてから階段を下りて行くと、彼女は、木戸の格子の向こうに横向きに立って、こちらを見ていた。私は、チューブを取りに行き、彼女に見せた。いつもなら、さっと寄って来たのだが、このときは、玄関の方へ歩き出した。私は、急いで追いかけた。木戸を出て、
「くう、食べな。」
と呼んだ。が、彼女は、歩を速め、門の方へ小走りし出した。
「くう、食べな!」
やせてきて
と、また呼んだが、彼女は、全然反応しないで、尻尾を横に伸ばしたまま走り続け、門から出て行ってしまった。
明らかに、彼女は、痩せてきて、食べる気がなくなっていると思った。
それから、ずっと、彼女は、姿を見せない。今までの、元気な彼女とは違う。
7時20分頃
居るかなと思って、ガラス戸の外を見たら、彼女が、階段の下に四つ這いになってこちらを見ていた。いつ来たのか気付かなかった。
私が外に出ると、彼女は、すっと寄って来た。それで、私は立ったまま、彼女の背中を何度も撫でた。ついでに、頭の上を触った。と、熱かった。彼女は、熱があるようだった。
どうすればいか、直ぐには分からなかったから、取り合えず、チュールを取りに行った。と、彼女は、いつものように、階段の下に行って潜った。私も行って、しゃがんでチュールを出すと、彼女は、いつものように顔を出し、ちゅるちゅると舐め出し、完食した。
私が、ガラス戸の中に戻って、しばらくして、見たら、彼女はそこには居なかった。
まずは、食欲が戻ってほっとした。