6月21日 金曜日
8時・・25.1℃ 3時・・24.2℃
8時50分頃から雨となり、たまに弱まった時もあるが、5時頃まで、ずっと降っていた。
黒猫は、ずっと姿を見せなかった。
6月22日 土曜日
8時・・21.6℃ 3時・・28.4℃
昨日が雨で、黒猫が、ずっと姿を見せないので、「寂しいな」と思いながら、薄掛け布団を干そうとして、ベランダに出たら、彼女が、木戸の南のコンクリートの上に、彼女が崩れて座って居た。何故か、ひょろ長く見えた。ずっと食していなかったからかと思った。
と、直ぐに、彼女は、南の方へ歩き出した。そして、流しのカバー網の手前に座った。私は、直ぐに、
「くう、くう!」
と呼んだ。
と、彼女は立って、何事もないように、完全無視で、南へ行ってしまった。
あれ?
何て冷淡な。
がっかりし、寂しさが増した。
それから、彼女は、姿を見せなかった。
夜、夕食を取りながら、ガラス戸の外を何度も見た。こちらをじっと見ているような気がして。
が、見るたびに居なかった。寂しさが増幅した。
6月23日 日曜日
8時・・24.0℃ 3時・・26.6℃
今日も彼女は来なかった。
午前に1回、傘をさして、南西の材木置き小屋を見に行った。そして、彼女の段ボール箱ベットを見た。期待して行ったのだったが、居なかった。辺りを見回しても、何処にも居なかった。
どうしたんだろうと思いながら部屋に戻り、雨の庭を見た。何処にも彼女の姿は無かった。あそこに、あんな格好で居た、そこにそんなことをしていた、ここでこうしていたと、いろんな彼女の姿が、浮かんだ。何処に居るんだろう、と思い、寂しい気分で居た。
午後に、また1回、傘をさして、彼女を見つけに行った。また南西の小屋を見ても居なかった。
「くう!くうちゃん!」
と何度か呼んだが、むなしかった。
それから、南東の長屋を見に行った。が、そこにも居なかった。名前を呼んでも、むなしかった。
そして、南の建物の向こうの棚を見に行った。が、居なかった。呼んでも、むなしかった。
そう言えば、ずっと前にも、同じように探しに行ったことを思い出した。あのときと、まるで同じだなあ、と感じた。
だが、その時と違って、もう彼女は来ないのか、とも思った。
悲しい気持ちで、雨の午後が過ぎた。
7時15分頃
すっかり諦めたような気分で、ふとガラス戸の外を見たら、おお、何と、彼女が、鉄の円形の台の上に、四つ這いでこちらを見ていた。雨の中、来て、濡れた地面を避けて、そこに座って居たのだった。
私は、直ぐに戸を開けて、
「くう!よく来たね!」
と言った。と、彼女は、直ぐに立ってこちらに寄って来た。私は、外に出て、しゃがんで、彼女の背中を何度か撫でた。彼女の背は、ごわごわしていて、横腹は濡れていた。そして、首の辺りが触った感じ、細くなっていた。あれっと思った。食べていないせいなのか。
その後、彼女は、いつもよりは淡白に、直ぐの感じで離れ、庇の下に行って、こちらを見た。私が、チュールを取りに行くと、彼女は、入れ替わるように横をすり抜け、餌ボールの方に行った。
私は、濡れない方が良いと思って、庇の下に座って、チュールを見せた。来るかと思ったら、彼女は、さっさと歩き出し、靴棚の下に潜った。あ、同じだなと思いつつ、私は傘をさして、そこに行き、しゃがんでチュールを出した。そのとき、ぽたりと落ちたように思ったが、彼女は、直ぐに舐め出した。
チューブを絞り出すとき、
「くう、ここに落ちたよ。」
と指をさしたら、彼女はそれを直ぐに舐めた。これも、今までと変わらなかった。そして、彼女は完全に舐めきった。
それでも、まだ、食したそうな感じだったので、私は、黒どんぶりに粒水餌を入れて、彼女の前に持って行った。彼女は、じっとそれを見ていた。
私が、ガラス戸に戻って、彼女を見たら、体を乗り出して、どんぶりに顔を入れた。やはり、今日、昨日、一昨日と、食していなかったから、腹が減ったのだろうと思った。
後でどんぶりを見てみたら、粒餌は残して、彼女は居なくなっていた。
約3日間もご無沙汰だった彼女は、もう来ないのかとばかり思っていた。今夜、彼女を見たときは、夢かと思った。が、夢では無かった。やはり、彼女は、唯一無二の、かけがえのない存在なのだと、つくづく思った。