晴れ 台風 晴れくもり

 

 

6月15日   土曜日

 

8時・・26.5℃   3時・・31.8℃

 

 

10時5分頃

 

コーヒーを飲みに行こうと、鉄板の階段を降り始め、隙間から木戸の方を見たら、黒猫が、敷居の上に横向きに座って、こちらを見ていた。このシュチエーションは初めての構図だった。どこか、ぼけたような、ぼうっとした風貌で、やはり年なんだなと思った。

 

私が、階段を降り切っても、彼女は、寄って来なかった。

 

私は、声を掛けて、ガラス戸の中に入った。彼女は、ときどき、右や左を見ながら、じっと座ったままだった。

 

コーヒーを飲みながら見ていると、数分して、彼女は、むくら立ち、敷居の向こうに座った。そして、右脚を上げて、肩の辺りを高速回転で、描きだした。虫がいるのだろうか、と思った。そう言えば、一昨日に、階段の下で、彼女が右脚を上げて同じように掻いていたとき、爪の間に柔毛が詰まり、ふわふわしたのが、次々と風で北に飛んで行ったのだった。虫取り剤を点下しようと、前から考えてもいるが、年なので、二の足を踏んでいるのだ。

 

彼女は、その後、東の方へゆっくり行った。

 

 

11時5分頃

 

冬用のひざ掛け等を物置の戸棚に片づけて、ふと木戸を見たら、彼女が木戸の左下に座って見ていた。海坊主というよりは、毛が毛羽立っているので、ハリネズミという風体だった。

 

私は、しゃがんで手を出した。だが、彼女はそこから来ようとはしなかった。それで、私がそこに行って、しゃがんで手を出した。すると、立って背中を出した。私は、敷居越しに何度も撫でた。このシュチエーションも初めてだった。

 

少しすると、彼女は、ぬっと離れ、東を向いた。彼女は、セーセーと息をしていた。それは、いまだかつてない息の付き方だった。やはり、年を取ったからだろうか、と思った。

 

その後、彼女は、靴棚の下に行って潜った。私は、昨日かってに届いた試供品を昨夜開けて、4分の1位をあげたのだったが、その続きの4分の1位を、小さめの白トレイに押し出して、彼女の前に持って行った。すると、彼女は直ぐ顔を出して、舐め出した。そして、固形の鰹みたいのに食らい付いた。と思ったら、クエッと言って振り捨てた。が、直ぐにまた噛みつき、食べて飲み込んだ。おや、そうとう気にったのだなと見ていたら、身を乗り出して、どんどんトレイを押し出すようにして食べ続け、こち側の壁板の所で止めた。あらかた食べきってから、彼女は、木戸を出て行った。。

 

 

12時07分

 

シンクのこちら側から木戸を見たら、彼女が、右下の隅に顔を出した。そして、こちら側をじっと見ていた。私が、豆腐の空きパックを網戸の外に投げたら、彼女は、すすすすすっと走って来て、舐め出した。微かに匂いがし、味もするようだった。

 

私が外に出ると、彼女は、靴棚の下に行って潜った。そして、前脚を角から垂らして、ずっと紅色の舌をちろっと出したままで、私を見ていた。暑いのにと思ったので、私は、その白トレイに試供品を全部押し出して、1m位離れた日陰に置いた。その空きパウチもそばに置いた。すると、彼女は、おもむろに出て来て、食べ出した。さっきと同じようにどんどんトレイを押して行き、壁板で止めて、食べきって木戸から出て行った。

 

 

3時20分頃

 

お茶のとき、彼女が来ないので、何処か涼しい所で寝ているんだろうと話していた。

 

コーヒーカップを持って戻り、机に置いて、何処に居るのだろうと、窓から外を見たら、前の建物の東側の新リュウノヒゲの葉の中に、彼女は、丸まって寝ていた。くるんとカーブしたすいすいした葉っぱ越しに、確かに黒いぼっちが見えた。それは、彼女に違いないのだった。

 

 

3時30分頃

 

ケフッ、という声?がした。何度と思って窓の外を見たら、彼女が、建物の北東のコンクリートの上に、ぐづれて座って居た。昼寝の後で、ちょっと寝ぼけている感じだった。ああ、起きたのだなと思って、少し用をして、また見たら、居なかった。あら、何処へ行ったのかと、よく見回したら、いつものリュウのヒゲの間の石の上に、顎を乗せていもむしみたいな格好で寝ていた。

 

 

3時55分頃

 

窓の外を見たら、彼女は顔を上げて、南を見ていた。何を見ているのかと思ったら、新新入りのゴミ猫だった。その猫は、流しの木柱を横に置いたのの上に座って、南を見ていた。その猫は、何日か前にもそこに座って居た。その木柱は、流しで何か洗うときに置く場所なのに、生意気だなと思ったが、そのままに見逃してあげた。

 

彼女は、少しすると、また顎を石に乗せて寝た。

 

間もなく、その猫は歩き出し、門から出て行った。彼女は、寝たままだった。

 

 

彼女は、木戸と試供品が大好きなのだった。