世界の国の金利と比べて日本の金利は低いです。
この数年で世界の主要国が利上げを続けたことから金利さは広がっています。
そのため、低い利回りの日本債券に比べて外国債券の利回りは魅力的に感じると思います。
ですが、その反面さまざまなリスクも存在します。

そこで今回は、外国債券の投資についてお伝えします。





まず初めに、日本と外国債券の利回りの差を見てみましょう。


出典:Bloomberg(2023年10月6日地点)より


ここから、日本の利回りが低いのが分かるでしょう。
特にブラジルとの金利差は11%以上です。
この利回りの差だけに着目すると、同じ投資額で10年間運用した場合、日本国債では利子を含めた投資額合計が1.079倍にしかなりませんが、ブラジル国債の場合は2.2倍となります。
仮に1000万円投資していると、2200万円となります。
預けた資産が10年で2.2倍になることは魅力的ですね。

しかし、こんな単純なことではありません。
少しでも外国債券に触れたことのある方はお分かりでしょう。
外国債券には主に4つのリスクがあり、売却時や償還時にいくら戻ってくるか、確実には見通せません。

リスク① 価格変動リスク/中途売却の場合、当初購入額から価格が下落するリスク
リスク② 信用リスク/購入した債券の発行体が破綻して元利支払いが滞るリスク
リスク③ 為替変動リスク/為替変動により売却時や償還時に為替差損が出るリスク
リスク④ カントリーリスク/発行国の政治や経済状況で債券か各区が下落するリスク


債券に関わらず、なんでもそうですが、高い利回りはリスクと表裏一体です。
投資した時点では見通せないリスクを考慮した上で、投資するかしないかの判断をしなければなりません。



では、何を持って判断すべきか?


外国債券の購入時に確認しておくべき項目の一つが、債券の格付けです。
格付けとは、格付機関が、発行体の債務支払能力を評価し、信用力を示したものです。
例えば、日本格付研究所の場合、最上位はAAAから最低がDと分類されます。

このように、債券の信用度がアルファベットのみで示されるものや、アルファベットと+、ーの記号で表されるものなど、複数の格付け期間がそれぞれの方法で、格付けを行い公表しています。

格付けと金利の関係は、一般的には以下のようになっています。

・格付けが高い→利回りが低い
・格付けが低い→利回りが高い


主要国の債券格付け一覧も見てみましょう。


出典:格付投資情報センター「格付一覧」より


主要国の中でも、特に利回りが高いブラジル、インドの格付けはそれぞれBBB-とBBBです。
他国より低くなっているのが分かります。
つまり、元利金が無事に返済される可能性が他国に比べて低い代わりに利回りが高いということです。

このように、格付けと利回りは互いに関係していることが分かりましたが、注意点もあります。
それは、その国の政治や経済状況によって利回りは常に変動していることです。
その結果、例えば2つの国の格付けを比較した場合、格付けの高い国の方が利回りは低くなる場合もありえるのです。
だからこそ、外国債券の投資は、格付けだけでなく、その国の政治・経済などの情報を元に、金利が妥当かを総合的に判断する必要があります。




また、外国債券に投資する際には為替にも注意が必要。
ですが、将来の為替動向を見極めることはほぼ不可能です。
そこで、為替レートを予測するのではなく、為替レートがいくらまで円高になった場合に元本割れするのかを投資前に調べておきます。

なぜ円安ではなく、円高になった場合なのでしょうか?
それは、日本円以外の通貨で発行された外国債券に投資する場合、元本や利息は一度発行国の通貨で支払われるからです。購入時よりもその通貨が日本円に対して弱くなる(円高になる)と、日本円に換算した受取額はその分だけ少なくなります。(反対にその通貨が強くなると、受取額は増える)


では、実際に元本割れとなる為替水準を調べてみましょう。

日本円の当初投資額を、投資した外国債券の通貨建て元本と運用期間中に得られる利息の合計額で割ると求められます。
例として、次のブラジル国債に1000万円投資する場合を見てみましょう。

償還期限:10年後
利回り:年10%
投資時の為替:1レアル=29.77円

では、元本割れとなる為替はいくらになるでしょうか?

元本(レアル):1000万円÷29.77=33万5909レアル・・・①
10年間の利息合計(レアル):33万5909レアル×10%×10年=33万5909レアル・・・②
元本割れとなる為替:1000万円÷(①+②)≒14.88

つまり、円転する際に、為替が1レアル=14.88円よりも円高で推移していると、発生する為替差損が1000万円の元本と10年分の利息の合計額を上回ってしまい、投資はマイナスとなります。

為替が将来ここまで円高になるか、確実なことは分かりませんが、過去のデータを見てみると、ブラジルレアルの為替はここ10年で14.89円まで円高に達したことはありません。

ですが、ブラジルレアルは非常に変動が激しい通貨であり、またブラジルは過去にハイパーインフレに見舞われたこともある国です。次の10年で価格が大きく下落しない保証はありません。

実際に債券に投資するかしないかは別として、この「元本割れとなる為替」を算出することは、投資判断の一つとなるのではないでしょうか?


投資において、リスクがゼロという商品はありません。
だからこそ、自分が理想とする投資のリスクとリターンの関係は非常に重要です。
投資する商品は、様々なリスクを想定することが大切なことです。