株式・投資信託・債券のインカムゲイン(資産を保有していると得られる収入)は、それぞれ利子・配当・分配金と呼ばれています。これらは似ている部分もありますが、中身は異なります。

今回は、それぞれの違いについてお伝えします。


▼「利子」について
国際や社債など、債券に投資すると定期的に利子を受け取ることができます。利子は「額面金額×利率」で計算することができ、額面金額は満期時に受け取れる元本です。仮に額面金額が1万円で2%の場合、利子は200円(税引前)となります。

ほとんどの債券は発行から満期まで利率が変わらない固定金利ですが、個人向け国債10年万期のように変動金利(半年ごとに利率見直し)や、利子を払わない債券(割引債)などもあります。額面金額や利率は、その債券購入前に確認する目論見書に記載されています。固定金利の場合は、購入前に受け取る利子を予め計算できます。

債券は投資家から直接借入となるため、発行体は利子や元本(額面金額)の支払い義務があります。
期日通りに利子の支払いや元本(額面金額)の返済ができないと債務不履行となり、投資家は利子の支払いや元本の払い戻しを受けられないリスクが発生します。そして、発行体の信用格付けにも大きく影響することにもなるのです。


▼「配当」について
配当により、企業は株主に対して利益の一部を還元します。一般的に当期純利益が配当の原始となるため、年ごとの利益の変動によって配当額も変動します。配当は債券のように借入に対する返済ではないので、利益をどう処分したいかの意向は企業が決めます。最終決定は株主総会での承認が必要です。

成長企業では、利益を内部留保して研究開発や工場建設などに充て配当を出さない会社もある一方、成熟企業では、それほど多くの設備投資が必要でないため、配当による利益還元を重視する企業もあります。また、企業が配当を支払っても株価自体が市場での投資家同士の売買によって価格が決まるため、直接的な株価への影響はありません。


▼「分配金」について
分配金は投資信託(ファンド)が運用して得た利益の一部をファンド保有者に対して支払うインカムゲインです。基準価額(1万口)に対する分配金の額は、そのファンドの運用会社が決算を行い決定します。

また、利益の還元という点では、株式の配当金と似ていますが、分配金は「ファンドの純資産から支払われる」点が株式と異なります。そのため分配金支払い後は、基準価額は引き下げられます。
株に投資するファンドの場合の純資産は、「純資産=投資先の株価×株数+受け取った配当金+投資に回していない現金等」です。

例えば、投資口数が100口で分配前の純資産が100万円の基準価額は1万円(100÷100口)です。分配金を1口当たり1000円出しますと、純資産は90万円(100万円-1000円×100口)に減ります。分配後の基準価額は9000円(90万円÷100口)となり、血払った分配金1000円分基準価額が下がります。(投資先に価格変動がない場合)

また、株式投資の場合、購入単価(株価)は変動しません(株式分割等除く)が、ファンドの購入単価(個別元本)は、分配金の支払いによって下がるケースもあります。



上記の通り、利子・配当・分配金は、それぞれ中身が異なります。インカムゲインを考えられる方は知っておくべきです。

インカムゲインに安定性を求めるならば、利子を選択すべきです。ただし、国内の債券に投資をする場合は低い利子を受け入れる必要があります。配当金や分配金は債券に比べ高い利回りの銘柄やファンドもありますが、債券のように満期がないため、売却時の株価や基準価額によっては売却益や売却損が発生するリスクがあります。リスクを想定した上で、運用する商品を選択することが最も重要です。