どうして『インシテミル』の表紙を変えたんだ。
書籍版の表紙のままで良いじゃないか。
だって西島大介だぜ?
うちの店では西島の本はよく売れてるし、
彼のイラストは売上につながるというのに…
結局サブカルっぽさ、ラノベっぽさを削り落とした感じで、
地味な表紙になってしまった『インシテミル』。
表紙のシンプルさが好きで平台にロングランさせてましたが、
文庫が出たし撤去。
表紙は本気でがっかりですが、内容は面白いです。
しかし今年は苦しい。
文芸書担当者としては本気で苦しい。
これという作品がないのである。
オススメしたい本も去年ほどない。
去年がいかに豊作だったかと感じる。
綿矢りさファンの僕としてはもう今年のナンバー1はカノジョの新刊、
『勝手にふるえてろ』なんだが、『インストール』や『蹴りたい背中』のような、
何かこう突き抜けるものはなかった。
もっともっと自由に書かせたらどうなんだろう、と思うんだが…
出版社が変わったし仕方がないのかも知れない。
個人的には前作『夢を与える』の方が好きだ。
カノジョ本人の叫びを感じることができたから。
それでもやっぱり良いと思うけれども。
どっちにせよ芥川賞を受賞し、センセーショナルな取り上げ方をされた
綿矢りさと金原ひとみのその後はあまり注目されていない。
でも『蛇にピアス』のあの荒削りな文章から、
どこか繊細さが加わった『AMEBIC』で脱皮した金原ひとみの方が、
綿矢よりも一歩先に進んでる気がするんだよね…
でも実際、売れるのは綿矢なのだが。
まあ相変わらず両方絡ませて展開してますが。
「趣味がよく出てますよね」
お客さんの誉め言葉、いただきました。
これ嬉しい。