なんとなく、本の山から松本清張を取り出した。


カーシェアリングって何!?

有名な推理小説やスリラー系ではなく、
『昭和史発掘』という文庫9巻に及ぶ大作である。
清張が史実を追った作品というのは幾つかあるが、
非常にきっぱりした史観論者という印象を受ける。
また、資料を重んじ、それをリライトしていくという作業が、
彼の歴史をありのままに伝えるという使命感だったのだろう。
その点で自分の解釈を交え、若干のアレンジを加える司馬文学とは
まったく別のアプローチと感じて、僕は清張史観を支持している。

『昭和史発掘』は日露戦争後の政治状況から、
2.26事件までを克明に追った作品で、
日本軍部の暴走、つまりは太平洋戦争へとなだれ込む日本の有り様を、
「なぜそうなったのか」をきちんと清張なりの論理、ロジックで解き明かす、
戦後直後を描いた『日本の黒い霧』と連なる大作である。

なんでまた僕がこの作品を読み始めたかというと、
ニュースの報道や週刊誌などの見出しを見ていると、
なんとなく昭和初期の状況と、
現在の日本のあらゆる状況が似ている気がしたからだ。
なんでこうまで似てくるのだろう、
なんでこうなってしまったのかというのは、
「明治維新」以後の政治の在り方を考えないとたぶんわからない。
戦後の日本政治は最終的に権力闘争であり、金脈にまみれた。
昭和の初め、不況の中、軍部が実権を握るための権力闘争に明け暮れ、
その結果、クーデターへと連なり、最後はあの戦争へとつながるのだから、
現在もあながちそれを踏襲しかねないことなどないんじゃないかな、
と思ったりもする。

下手な小説より面白い。
事実は小説より奇なりでオススメする。うん。