気温の寒暖差が異常なほど激しかった4月半ば。4度目の稲作が始まった。

稲というと田植えや青々と育つところ、黄金色の穂を想像される読者が多いだろう。しかし、それは生育過程の一部に過ぎない。そこで、稲作の工程を伝えさせて頂く。

タイちゃんのブログ~長野の里山から~
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まずは塩水選といって、質が良い籾と悪い籾を食塩水を使って選り分ける。上の写真のように生卵が横向きとなり、500円玉くらい水面から顔を出したら比重1.15。標準では1.13なのだが、今年は全体的に籾質が悪かったので、ややきつめに行った。

そうしたら、種籾がまあ大量に浮いた。浮いた籾(=軽く質が良くない籾)を下の写真のように網で掬ってはバケツ移す。結果、8kgあった種籾は約5kgに減った。


ちなみに稲作歴70年の大ベテラン、近所の計雄じいさんは塩水選はしないという。あらかじめ前年秋にはぜ掛け(=天日干し)した稲束から最良のものを選べばそれでいい、という持論がある。僕はそれを不注意にも忘れたため、一手間増やしてしまったということだ。


塩水選を終え“勝ち残った”種籾は、45℃程度の湯に浸しておく。

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次に温湯消毒となる。病原菌を除去するために60℃の湯に10分間、籾を浸す。今回は初めて、写真の催芽器を使って15℃加温に設定。室温10℃の中、60℃を維持することができた。

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これも今年初めての試み。昨年も催芽器は使ったが、水を循環させるだけ。芽が動くまで積算温度100℃、水温10℃なら10日必要とされる。昨年は我が家の井戸から引く水(水温7~10℃)に2週間以上浸した。その後、27℃で催芽(籾の先端がプクっと膨らむ鳩胸状態にもっていくための作業)したのだが、通常24時間のところが49時間かかった。
そこで今年はやり方を変更した。電力で15℃に維持された水に10日間浸種。そうしたらすでに芽が出ている籾がチラホラ見られた。


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途中、こんな日もあったのに、加温効果恐るべし。というのも芽が出てしまうと、種まきの時に使う播種機に芽がひっかかり、理想とする均一な播種とならないのだ。そこで、まだ鳩胸状態になっていない籾もたくさんあったが、今年は催芽なし、と判断した。

種籾は播種に備え、日の入らないところで陰干し2日。籾が手にくっつかないくらいに乾いたところで、28日、播種作業へと入った。


=続く=