ご無沙汰もご無沙汰です。


タイちゃんのブログ~長野の里山から~
高社山(写真)に傾く薄日を浴びる寒暖計を覘くと、なんと14℃⁉

季節外れの暖かさで、1メートル以上の嵩があった雪が見る見るうちに減少。あらかじめ除雪機で雪を飛ばしていた部分は地面が露出し、まだ3月も7日だというのに、春本番近しだな、と思ってしまいます。

北海道や東北地方では記録的豪雪の年となっているようですが、ここ須賀川の積雪量は昨年と比べると、半分ほどです。日本海側のみ視界が開け、東西南は山。標高700メートルの扇状地で、もともと雪が溜まりやすく、近所のTさんが「昔は一晩で二階まで積もって、寝ずに雪を(屋根から)下ろしたけどなあ」というようなこともあったとか。今年はここまでは、そういった日はありません。


よくこの辺りの年寄り衆は嘆きます。「雪さえなければいいとこなんだけんな」と。当地での生活をはじめて4年目。確かにそうだなあ、と実感するようになりました。

除雪や雪かき作業(今でも一部の民家は雪下ろしが必要)という積雪地域にしかない手間がかかることは当然、農作業にも響くからです。

ここ3年、雪が田畑から完全に消えるのは早くても4月10日過ぎ。昨年にメモをした日記だと、4月21日でした。そこからよーいどんです。雪さえなければもっとゆっくりと、田の畔を補修したり畑の畝を作ったりと準備ができるのですが。

雪解けが遅い分、当地の農家にとって春は大忙しです。これで梅雨時も後にずれてくれればいいのですが、それは他所と変わらず、時季相応にやって来ます。春は短命。あっという間に終わり、鶯色の草木の葉は、ものすごい早さで緑化します。


一方で雪の恩恵もあります。それは、水です。水は稲作には欠かせないもの。山に蓄えられた雪解け水は潤沢豊富かつ、盛夏でも足を浸していると5分も持たないくらいの冷たさで、(僕が借りている田に注ぐ湧き水は)そのまま飲めるほど美味しいのです。


気象条件に加えて高地という地理条件も、当地ならではの味の良さをもたらしてくれます。ここ数年猛暑が続きで、30を超える日がよくありますが、クーラーがある家などほぼ皆無と言っていい所。夜は肌寒く感じる日も間々あり、その気温の寒暖差が、米を豆を野菜を、小さくも旨みがギュッとしまったものに仕立ててくれます。


四季の中で最も長く、住む者の多くが萎えだくなる冬。それにともなう雪。でも、時の経過とともに、やがて雪が融け、土が大手を振るように辺り一面に顔を出し、フキノトウが芽を出し、土筆が勢いよく伸びる。

冬眠はぼちぼち終わりにせんとな、と感じています。農作業は段取りが肝心ですから。ようやく頭が少しは回転し始め、今年の稲作、畑作に向けて過去3年の記録を鑑みて作戦を練っています。

まだまだ眠たい目をこすりながら、少しずつ、一歩進んで二歩下がるかもしれませんが、春に向けて走らずに、歩いく所存です。