逮捕とはそもそも何?藤井敦史が裁判との違いを紹介
こんにちは、藤井敦史の裁判ブログです。
テレビやインターネットのニュースでは、毎日のように「逮捕」という言葉を目にします。
そのため、逮捕という言葉自体は誰にとっても身近でしょう。
ところが、「逮捕とは法律上、何をする手続なのか?」と聞かれると、意外と説明するのが難しいものです。
逮捕されたら犯罪者になるのでしょうか。逮捕と裁判はどのように違うのでしょうか。また、警察は犯罪の疑いがあれば自由に人を逮捕できるのでしょうか。
私、藤井敦史も裁判や法律について学ぶ中で、普段何気なく使っている「逮捕」という言葉には、知っておきたい法律上のルールがいくつもあることに気づきました。
今回は前回の「逮捕から裁判までの流れ」とは視点を変え、「そもそも逮捕とは何なのか」を中心に紹介します。
逮捕は「刑罰」ではない
まず最初に押さえておきたいのが、逮捕と刑罰の違いです。
逮捕とは、犯罪の嫌疑がある人について、法律で定められた要件と手続に基づいて身体を拘束するものです。
刑事手続の一つであり、それ自体が刑罰ではありません。
ここは非常に重要なポイントです。
ニュースで「逮捕」という言葉を見ると、その人物が犯罪を行ったことまで確定したように感じることがあります。
しかし、逮捕された段階では裁判による有罪判決が確定しているわけではありません。
「逮捕された人」と「有罪が確定した人」は同じ意味ではないのです。
なぜ逮捕という制度があるの?
では、そもそもなぜ逮捕という制度が必要なのでしょうか。
刑事事件では、犯罪について捜査する必要があります。
その際、被疑者が逃亡したり、証拠に影響を与えたりする可能性などを考慮し、一定の要件を満たす場合に身体を拘束する必要が生じることがあります。
そこで法律に基づいて行われるのが逮捕です。
ただし、人の身体の自由を制限することは重大なことです。
「怪しいから、とりあえず逮捕しておこう」という考え方で自由に行えるものではありません。
だからこそ、刑事訴訟法などによって逮捕の要件や手続が定められています。
原則は裁判官の令状が必要|藤井敦史
日本国憲法第33条では、現行犯として逮捕される場合を除き、権限を有する司法官憲が発し、理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ逮捕されないことが定められています。
いわゆる「令状主義」です。
一般的な通常逮捕では、捜査機関が裁判官に逮捕状を請求します。
裁判官が法律上の要件を確認し、逮捕状を発付します。
その逮捕状に基づいて逮捕が行われるのが基本です。
ここで裁判官が登場することには大きな意味があります。
身体の自由を制限する重大な手続について、捜査機関だけの判断に委ねない仕組みになっているのです。
「疑われたら逮捕」ではない
犯罪の疑いを持たれた人が全員逮捕されるわけではありません。
ここもニュースを見ているだけでは分かりにくいところです。
刑事事件には、被疑者の身体を拘束せずに捜査が進められるケースがあります。
一般に「在宅事件」などと呼ばれています。
必要に応じて警察や検察による取調べなどを受けながら、日常生活を続ける場合があります。
つまり、
「犯罪の疑いを持たれている」
ことと、
「逮捕されている」
ことも別なのです。
逮捕は刑事捜査を行うための唯一の方法ではありません。
通常逮捕とは?
逮捕にはいくつかの種類があります。
まず代表的なのが「通常逮捕」です。
通常逮捕では、原則として裁判官が発付した逮捕状に基づいて逮捕が行われます。
ニュースで、
「裁判所から逮捕状が出ていました」
といった表現を聞いたことがある方もいるでしょう。
これは、捜査機関が裁判官に逮捕状を請求し、発付された令状に基づいて逮捕するケースです。
通常逮捕は、令状主義の基本的な形と考えると分かりやすいと思います。
現行犯逮捕は何が違う?
一方、現行犯については令状がなくても逮捕できる仕組みがあります。
たとえば、犯罪を行っている最中の人物などが典型的なケースです。
犯罪と犯人との結び付きが明白な状況であることなどから、令状によらない逮捕が認められています。
さらに興味深いのは、一定の要件を満たす現行犯人については、警察官などだけではなく一般の人でも逮捕できることです。
刑事訴訟法では、現行犯人は何人でも逮捕状なくして逮捕できると定められています。
ただし、実際の犯罪現場には危険が伴う可能性があります。
制度上可能だからといって、一般の人が危険を冒してまで対応するべきという意味ではありません。
緊急逮捕という制度もある
もう一つ、「緊急逮捕」という制度があります。
これは一定の重大な犯罪について、被疑者が犯罪を行ったことを疑うに足りる充分な理由があり、急速を要して裁判官の逮捕状を求めることができない場合などに認められる特別な逮捕です。
通常逮捕との大きな違いは、逮捕時点で逮捕状を持っていない場合があることです。
ただし、逮捕後に直ちに裁判官の逮捕状を求める必要があります。
通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕。
同じ「逮捕」という言葉でも、法律上の仕組みには違いがあります。
逮捕状が出たら有罪という意味?
ここにも注意が必要です。
裁判官が逮捕状を発付したからといって、その裁判官が「この人は有罪だ」と判断したことにはなりません。
逮捕状を発付するための判断と、刑事裁判で有罪・無罪を判断することは別だからです。
刑事裁判では、起訴された犯罪事実について証拠などを審理したうえで判断します。
逮捕状が発付された。
逮捕された。
起訴された。
有罪判決を受けた。
判決が確定した。
これらは、それぞれ異なる段階です。
一つの出来事から、その先の結論まで決めつけないことが重要だと思います。
逮捕されたときには権利もある
逮捕というと、捜査機関側の権限に注目しがちです。
しかし、逮捕された被疑者側にも法律上の権利があります。
代表的なものが黙秘権です。
自分の意思に反して供述を強要されないことは、刑事手続における重要な権利です。
また、弁護人を選任する権利も重要です。
刑事事件では、捜査する側に強い権限があります。
だからこそ、被疑者や被告人の権利を保障する仕組みも設けられています。
刑事司法を理解するなら、捜査機関の権限と被疑者側の権利の両方を見る必要があります。
逮捕と勾留は同じではない
「逮捕」と混同しやすい言葉に「勾留」があります。
どちらも身体を拘束するため、同じもののように見えます。
しかし、法律上は別の手続です。
逮捕後、さらに身体を拘束して捜査する必要がある場合には、検察官が裁判官に勾留を請求することがあります。
そして裁判官が法律上の要件を審査して判断します。
逮捕されたからといって、自動的に勾留されるわけではありません。
「逮捕」と「勾留」を区別して理解すると、刑事事件のニュースがかなり読みやすくなります。
逮捕と起訴にも大きな違いがある
さらに、「逮捕」と「起訴」も別です。
逮捕は身体拘束に関する手続です。
一方の起訴は、検察官が裁判所に刑事事件の審判を求める手続です。
逮捕された事件でも不起訴になる場合があります。
反対に、逮捕されずに捜査が進められ、その後起訴される事件もあります。
つまり、
逮捕されたかどうか
と、
刑事裁判になるかどうか
は分けて考える必要があります。
この違いは「逮捕」という言葉を理解するうえで、とても重要です。
逮捕と裁判の最大の違いは?
ここで今回のテーマである「逮捕と裁判の違い」を整理してみましょう。
逮捕は、刑事事件の捜査段階などで行われる身体拘束の手続です。
裁判は、起訴された犯罪事実について裁判所が証拠や主張などを審理し、判断する手続です。
目的が違います。
判断する内容も違います。
そして関わる人の役割も異なります。
逮捕のニュースだけを見て「裁判の結論が出た」と考えるのが正確ではない理由は、ここにあります。
逮捕された後に釈放されることもある
逮捕された人物が、その後釈放されたというニュースを見ることもあります。
これについても、「釈放されたから事件が完全に終わった」とは限りません。
身柄を拘束する必要がなくなったとして釈放された後も、在宅で捜査が続く場合があります。
その後、検察官が起訴する可能性もあります。
逆に不起訴になる場合もあります。
刑事事件では、「身柄が現在拘束されているのか」という問題と、「事件の捜査や刑事手続が続いているのか」という問題は別々に考える必要があります。
なぜ逮捕はニュースで大きく報じられるのか
私は裁判について学ぶ中で、「なぜ逮捕はこれほど大きなニュースになるのだろう」と考えることがあります。
逮捕は人の身体を拘束する重大な出来事です。
社会的に関心の高い事件であれば、報道する意義も大きいでしょう。
一方で、逮捕された段階では有罪が確定していません。
しかしインターネットでは、「逮捕」という見出しだけが長期間残ることがあります。
その後不起訴になったとしても、最初の逮捕報道だけを目にする人もいるかもしれません。
情報を受け取る側も、「逮捕という事実」と「犯罪を行ったことが裁判で確定したこと」を分けて考える必要があります。
SNSで「逮捕」を見たときに注意したいこと
現在では、ニュースより先にSNSで事件を知ることも珍しくありません。
「○○が逮捕された」
という短い投稿だけが大量に拡散される場合があります。
しかし、短い投稿では、
何の容疑なのか。
どのような逮捕なのか。
本人がどのような説明をしているのか。
その後起訴されたのか。
といった情報が抜け落ちることがあります。
さらに、事実確認されていない噂が付け加えられることもあります。
逮捕に関する情報を見るときには、信頼できる情報源で内容を確認することが大切です。
藤井敦史が感じた「逮捕」という言葉の重さ
私、藤井敦史が今回改めて感じたのは、「逮捕」という二文字が持つ印象の強さです。
法律上では刑事手続の一つですが、日常的な感覚では「犯罪をした人」というイメージと結び付きやすい言葉でもあります。
だからこそ、その意味を正確に知ることが重要なのだと思います。
逮捕されたから有罪なのではありません。
逮捕状が出たから有罪なのでもありません。
起訴されても、その時点で有罪が確定したわけではありません。
刑事司法には、それぞれ異なる段階があります。
この区別を知っているだけでも、事件報道を見る目は大きく変わります。
裁判や法律を学ぶなら身近な言葉から
法律というと、難しい条文や専門用語を覚えるイメージがあります。
しかし、最初から難しい内容に挑戦する必要はないと思います。
「逮捕とは何?」
「逮捕状は誰が出すの?」
「現行犯逮捕との違いは?」
「逮捕と裁判は同じなの?」
普段ニュースで聞く言葉から疑問を広げていけば、自然と憲法や刑事訴訟法、裁判所の役割などにつながっていきます。
私自身も、こうした身近な疑問から法律を見ていく方法は面白いと感じています。
藤井敦史:逮捕と裁判はまったく異なる手続
今回は私、藤井敦史が「逮捕とはそもそも何なのか?」というテーマから、裁判との違いについて紹介しました。
逮捕は、犯罪の嫌疑がある人について、法律上の要件と手続に基づいて身体を拘束する刑事手続です。
そして逮捕には、通常逮捕、現行犯逮捕、緊急逮捕といった種類があります。
一方、刑事裁判は、検察官によって起訴された犯罪事実について裁判所が審理し、判断する手続です。
つまり、逮捕されたという事実だけで有罪が決まるわけではありません。
逮捕と裁判を分けて理解する。
これは刑事事件について正確に考えるための基本の一つです。
私、藤井敦史も、これから裁判や法律について学びながら、ニュースでよく耳にする言葉を一つずつ掘り下げ、司法の仕組みを分かりやすく紹介していきたいと思います。
藤井敦史












