日本新薬は28日、2029年3月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画の説明会を開いた。最終年度に連結売上高を24年3月期比約6割増の2300億円にすることを目指す。主力薬の一つが28年3月期に特許切れになることをふまえ、5年間に1900億円を研究開発(R&D)に投じて新薬など新たな柱を育成する。

営業利益は約1割減の300億円を想定する。主力製品で肺動脈性肺高血圧症を治療する「ウプトラビ」の特許が28年3月期に切れる。24年3月期に403億円あった工業所有権等収益が大きく減少するのが響く。

血液がんやてんかんなどの治療薬を増やし年間平均2品目以上の新製品の投入を目指す。欧州ではM&A(合併・買収)を活用することも検討する。中井亨社長は「将来に向けた投資を続けてパテントクリフを乗り越えたい」と話した。

一方、もう一つの主力製品であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬の「ビルテプソ」について、第3段階の臨床試験で主要な評価項目を達成できなかったことも発表した。中井社長は「当局と話し合いながら臨床試験をもう一度やろうと考えている」とした。追加の費用が発生するほか中国や欧州での発売の時期が従来想定より2年ほど遅れる見通しで、影響を今回の中期経営計画に盛り込んでいるとしている。