日本株は上値重く

今週の米株市場は上値を試す展開となりそうだ。米ダウ工業株30種平均は17日、終値として初めて4万ドルに乗せた。米国の利下げ期待の再燃で投資家のリスク選好度は強まっており、株高基調が続くとの見方が優勢となっている。

 

市場の関心は22日に控える半導体大手エヌビディアの2024年2〜4月期の決算発表に向かっている。内容次第では市場のムードが大きく変わる可能性がある。朝日ライフアセットマネジメントの武重佳宏資産運用統括部長は「人工知能(AI)向けの売上高の伸びを確認できるかに注目している」と話す。

日本株は上値が重い展開が続いている。3月期企業の決算発表で保守的な業績見通しが目立ち、当面は株価の重荷になりそうだ。エヌビディアの決算内容が市場予想を上回るようなら「日米のハイテク株に強い追い風になる」(野村証券の神谷和男ストラテジスト)との声もあった。

米長期金利、低下の公算

米債券市場で長期金利の指標となる10年物国債利回りは低下(債券価格は上昇)基調をたどる公算が大きい。前週発表の4月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想通りの結果だった。米利下げが先送りされるとの観測が後退し、金利は4.3%台まで低下した。

 

長引くインフレにより、市場では利上げ観測が浮上する時期もあった。だが「当面は米利下げが意識され、金利には低下圧力がかかりやすい」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト)との見方がある。

国内債券市場でも金利は低下しやすい。13日に日銀は国債買い入れオペ(公開市場操作)で残存期間5年超10年以下の買い入れ額を従来から減らした。17日の買い入れ額は13日から据え置いた。市場では23日予定のオペに注目が集まる。17日比で減額がなければ需給の引き締まりが意識されやすく、金利の上昇圧力はかかりにくくなる。

円、対ドルで弱含み

外国為替市場で対ドルの円相場は弱含みか。市場の注目度が高い米経済指標の発表が一巡し、目立った材料に乏しい。実需のドル買いが優勢になりやすいとの指摘はあるものの、下落余地は限られるとの見方が強い。

 

前週発表の4月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想通りだった。直後は米利下げ観測が強まり円高となったが、その後は円が売られる場面もあった。「輸入企業のドル買い需要はなお根強い」(邦銀ディーラー)といい、円安・ドル高が進みやすい。半面、政府・日銀による介入への警戒感もある。

今週は複数の米連邦準備理事会(FRB)高官による講演や、4月30日〜5月1日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の公表が予定される。セントラル短資FXの水町淳彦市場業務部長は「FRB高官から(金融引き締めに前向きな)タカ派発言が出れば、円は下落しやすい」と話す。

原油、小幅な値動きか

原油相場は小幅な値動きか。中東情勢の悪化懸念はあるものの、6月1日の石油輸出国機構(OPEC)プラスの閣僚級会合を前に、様子見姿勢が強まりやすい。

 

22日には米エネルギー情報局(EIA)が週間統計を発表する。5月下旬から米国はドライブシーズンに入る。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストは「ガソリン在庫が大きく減れば原油価格に上昇圧力がかかる」と指摘する。

イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ最南部ラファで地上作戦を拡大する可能性はくすぶる。ただ、野村証券の高島雄貴エコノミストは「産油国を巻き込まない限り原油相場への影響は限定的だろう」とみる。

OPECプラス閣僚級会合の結果を見極めるまで大きくポジションは傾けづらい。国際商品の総合的な値動きを示すFTSE・コアコモディティーCRB指数も小動きとなる可能性が高い。