日経平均4万円超え「先物清算めぐり意外高も」市場の声

 

前週末比400円超上げ、4万0300円台で推移する日経平均株価(4日午前、東京都中央区)

3月前半、4万1000円上回れば株高加速も

木野内栄治・大和証券チーフテクニカルアナリスト 

4日の東京株式市場で日経平均株価が取引時間中として初めて4万円の大台に乗せた。これまで1989年12月29日に付けた3万8915円が心理的にもチャート的にも節目になっていたが、時代が変わったことを感じさせる。

4日の株高の直接的な要因は、前週末1日の米株式市場でのハイテク株高だ。2月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が市場予想を下回ったことなどを背景に、アトランタ連銀が経済指標から国内総生産(GDP)を予測する「GDPナウ」が大きく鈍化した。米金利が低下し、株式の相対的な割高感が後退したとの受け止めが株買いにつながった。日本株は米エヌビディアと相関性の高い銘柄が多く、半導体関連株の上昇が日経平均を押し上げている。

今週末に株価指数先物・オプション3月物の特別清算指数(SQ)算出を控える。SQ週は上下とも大きく振れやすい傾向があるが、今回は1月や2月と同じく「意外高」となりそうだ。まずは4万1000円をめざす展開となり、3月前半は4万1000円を上回ればさらに株高が加速する可能性もある。

日本経済はコストプッシュ型のインフレに陥っているにもかかわらず、政府は「デフレ脱却」を表明する検討に入ったと伝わった。仮にデフレ脱却が宣言され、増税議論が息を吹き返すようだと、株高の抑制要因となりかねない。今夏に解散総選挙が実施されるとみているが、この時期が株価の天井となり、3万4000円程度までの下落余地があると考えている。

AIブームで「追い風参考」記録

香川睦・楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジスト

4日の東京株式市場で日経平均株価が一時、節目の4万円を上回った。人工知能(AI)ブームなどによる半導体関連株の上昇をけん引役とした上値追いが続く米株式相場の流れが国内に波及しているほか、為替市場での継続的な円安傾向による輸出関連株への買いも日経平均を押し上げている。ただ、あくまでも外部要因がきっかけのため、4万円突破は「追い風参考」と受け止めている。

日米の半導体関連株の上昇スピードは急速で高値警戒感は強い。今後、米国株が調整に入ることがあれば、海外投資家のリスク許容度は下がる。海外勢主導で上昇してきた日本株も一時的な調整を迫られる局面に入るだろう。

日本国内の景気低迷も重荷だ。2023年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値は実質で2四半期連続のマイナス成長と、景気悪化の転換点である「テクニカルリセッション」に陥った。日銀の金融政策変更なども控えて国内の好材料が決して多くないとあって、強気相場の「ガス抜き」は必要だとみている。

円相場は株高と金利低下が綱引き

亀岡裕次・大和アセットマネジメントチーフ為替ストラテジスト  

4日の東京株式市場で日経平均株価が取引時間中として初めて4万円の大台に乗せた。日米の株高を受けて「リスクオン(リスク資産の選好)」の様相が強まっているのは、相対的な低リスク通貨とされる円の下押し要因となる。日銀がマイナス金利の解除に動いた後も、緩和的な金融政策を維持するとの見方も引き続き円相場の重荷になるだろう。

他方、株高の背景の一つにもなっている米長期金利の上昇一服は、日米の金利差がこれ以上拡大しないとの見方から、円買い・ドル売りにつながりうる。リスクオンと米金利低下の綱引きにより、一方的な円安進行は見込みづらく、昨年や一昨年の安値水準である1ドル=151円90銭台を模索する展開にはなりにくいだろう。

(3月4日 日経電子版)