1997年、世界はアジア通貨危機という金融の嵐に見舞われた。


この危機は、アジア各国の通貨価値が急激に下落し、経済に深刻な影響を及ぼした。


一部の報道ではその中心には、一般的にヘッジファンドと関連付けられる要素が存在していたとされる。


アジア通貨危機は、タイを中心に始まり、東アジアと東南アジアの各国経済に大きな悪影響を及ぼした。


この通貨下落は、アメリカのヘッジファンドを主とした機関投資家による通貨の空売りによって引き起こされたと広く信じられている。


これはマハティール元マレーシア首相が通貨の急落はヘッジファンドによるものと主張したことから来ている。


ヘッジファンドは、高いリスクを取ることで大きなリターンを目指す投資ファンドで、その運用戦略は多岐にわたる。


その中には、通貨の価値が下がると予想して空売りを行うという戦略も含まれている。このような戦略が、アジア通貨危機の引き金となったと報道されたのだ。


ヘッジファンドの特徴は次のと通り。


①私募によって募集されるため、一般の投資家に

 は購入の機会が限られている。


②金融派生商品(デリバティブ)など を組み合わ

 せ、株式や債券、為替や 商品など幅広い商品に

 投資する。


③ロング・ショート運用のように売り と買いを両

 建てにして「絶対収益」を狙うものなど、さまざ

 まな運用手 法がある。


④運用規制が厳しくないため、さまざ まな投資戦

 略を取れる。


ヘッジ(hedge)は直訳すると「避ける」という意味で、相場が下がったときの資産の目減りを避けるといったところから用いられている。


空売りのシステムに関して、例えば、1株1000円の銘柄を1000株、株価が下落するタイミングで空売りする。


その後、株価が700円まで下がったので、1000株分買い戻したとする。


ここでは、空売りした1000円×1000株=100万円に対して、買い戻しに700円×1000株=70万円を支払うので、30万円が手元に残る。


この差額分が空売りによる利益となる。



通貨危機に話を戻す。


欧米のヘッジファンドは、アジアの経済状況と為替レートの評価にズレが生じ、結果として自国通貨が過大評価され始めていると考えた。


そこで過大評価された通貨に空売りを仕掛け、安くなったところで買い戻す戦略に出た。


各国の通貨はヘッジファンドの思惑通りに大暴落し、各国の金融当局は下落する自国通貨を買い支えることが出来なかった。


つまりアジア通貨危機は欧米のヘッジファンドによって引き起こされた訳である。