告別式の日に

親族代表で挨拶をさせてもらいましたが

もっともっとすごい父のこと

話しておけばよかったと、後になって

思ってしまいましたので

もう少しだけお付き合いください。

父はテーラーを営んでいました

注文紳士服の店です

今みたいに既製品の安価なスーツがない時代

男のスーツ(背広)はテーラーで。

ですから、忙しくて忙しくて

両親が寝ているのを、子供の頃

見たことがありませんでした。

そんな中でも、家族旅行は欠かさず

そのときには

朝までお客様の背広を仕立てて納めたあと

僕たち兄弟お揃いの洋服を作ってくれて

それを着て出掛けました。

まだミシンの糸が長く付いていたりして。

寝る間を惜しんで作ってくれた

気持ちが子供心にもわかりました!

中学、高校は学ラン(詰め襟)

友達が既製品の流行りのデザインを着る中

私は父のオーダーメイドでした

流行りのデザインが着たい❗と思いながら

手を通してみると、身体にぴったりで

自分の詰め襟が、一番カッコいいと

わかりました。

修学旅行に行く日も前の日まで

お客様の背広を仕立てて間に合わせ

寝ないで出発の朝に完成!

旅先で父の優しさに触れることとなりました

あれ?と思うと

不思議なところに隠しポケットが❗

そうです!

小遣いが足りなくて

寂しい思いをさせないため

隠しポケットに

小さくお札が畳んで入ってました

それも何ヵ所も(笑)

父の愛情と技術を感じました!

成人式の背広も父親製

いつも誇らしかったです❗

今回、式に何人もの方が

父の作った礼服を着てきてくれました


30年近く経った今も

型崩れなく、新品のようです。


「お父さんの仕事は凄かったね!」と

誉めてくださいます。

父は亡くなりましたが

『虎は死して皮を留め』の言葉の通り

父の作ったスーツは今も現役です

「出世したらお父さんに最高の

    スーツを注文したい!」

と言っていたことだけが叶いませんでした

「もう縫えないよ」って。

田舎町ではありましたが

日本一のテーラーだったと思います。


子供の頃

なかなか遊んであげられないと思った父は

洋服の付属品を買うための東京に

連れてってくれました。

荷物持ちだよ!と言ってましたが

そうではないこと、私にはわかりました

顔がきく神田須田町で仕入れを済ませ

いつも向かうは《肉の万世》

父との思い出の味です。


尊敬する人であり、職人であり

男であり

父でした。

ブログをお読みの皆さん

長々とお付き合いありがとうございました

お父さんが使っていた仕事道具《鉄マン》


袖にアイロンをかける時に使います

父を感じていたいと、持って帰ってきました


タジカ洋服店のハンガー

大切に使っています。

これで父の話はおしまい

また明日から楽しいブログで

皆さんを笑顔にしたいと思います❕