この手の本しか読めなくなって久しいのですが、性懲りもなく続けます。

 

 

従来から興味のあった「ジャガイモ普及以前のアルプス以北ヨーロッパでは何を食べていたのか」が纏まって紹介されています。
12世紀のドイツに生きた、ヒルデガルドという非常に優秀な修道女の残した記録が19世紀に発見され、以降、健康レシピ的に支持され続けている模様。
当然ですが、アメリカ大陸由来のジャガイモやトマトといった食材は12世紀のドイツには存在していませんので、彼女のレシピにも登場しません。
厳密に言うと、この本の中にも彼女が言及していない食材、例えばビーツやカボチャも但し書き付きで登場していますが、ジャガイモとトマトは一切出てきません。
現在ではアルプス以北ヨーロッパの主食となっているジャガイモですが、外来品種であるジャガイモへの依存度の高さを危惧する人が彼女のレシピに答えを見いだしたのか、という気もします。アイルランドの飢饉の例もありますしね。
肝心のレシピですが、確かに健康的で、基本的に火を通すものなので、安全に食べられそうなものばかりです。特にスープ類はどれも美味しいそう。
優秀な人が臨床例から得た知見を自身の中だけに留めず、他人が使える形でアウトプットしてくれたおかげで、今日もなお救われる人がいる、ということにも色々考えさせられた一冊でした。