昭和ど真ん中の子供には、アニメから実写版まで、その時々で様々なヒーローが存在する。僕も例に漏れず、宇宙少年ソランから鉄腕アトム、エイトマンなど、次から次へとワクワクが忙しかった。
そんな中、一番夢中になったのが『帰ってきたウルトラマン』だった。最初の頃は、どうやったら変身できるかが分かっていない主人公は、橋から飛び降りるとか危険な事をする事でスイッチが入り、変身できていた。時が経つと自分の意思だけで変身できるようになってゆく。
中学生の時に見た夢の話。通い慣れた住宅街の道を歩いていた時に、300mくらい離れた場所に、突然怪獣が現れた。実は僕はウルトラマンだ。怪獣に見つかる前に変身しなければ、人間のままだとやられてしまう。僕は姿を隠しながら、ジュワッジュワッジュワッとウルトラマンに変身した。
ところがである。確かにウルトラマンだが、サイズが中学生のままなのだ。僕は、ウルトラマンにあるまじき行動だが、怪獣に見つからないように、そっと立ち去った。ウルトラマンの姿のままで。
決して逃げるつもりではなかった。何とかまた大きくなれたら戻るつもりで、そう、忸怩(じくじ)たる思いで立ち去ったのだ。
何とも歯切れが悪いが、その日の夢はそこで終わった。かと言って、似たようなシチュエーションでいわゆる続きを見ることもなかった。
恥ずかしい、少し惨めな夢のお話。