家族や周りの人たちに育まれ、壮大な夢を抱きながらはしゃぎ回り、素敵な異性に憧れて、そして自分の努力で次の道へと進んで行く。荒波に揉まれつつも好天に恵まれたりもして歩んできた人生。時間の流れ、経験の積み重ね、ややもすれば忘却の狭間に消えかけてしまいそうな物や事の中から、かけがえのない思い出を少しだけ掘り起こしてみたいと思う。
幼い時、雨が降りしきる窓に座りながら家族の帰りを待つ。おそらく3歳の頃の一枚の写真みたいな一瞬の記憶。俯瞰で自分の姿を見ているかの様な不思議な記憶。
5歳の頃、向かいの商店で飼っている犬を、おばさんの許しを得て、よく散歩に連れて行った。どこをどう歩いたのかも覚えていないが、さあ行くよと鎖を外す瞬間がやけに記憶に残っている。
大雨による洪水であたり一面に水が溢れ、我が家も床下浸水。そんな中、全てがプールになったかの様な日常の空間に興奮して、遠くまでひとりで歩いた。じゃぷじゃぷと水が入ってしまった長靴で歩くのが無性に楽しかった。途中、汲み取り式の便所の木の外蓋が流れているのを見て、気持ち悪さを覚えて引き返した。
小学1年の時に同じクラスの女の子に遊ぼうと声をかけたけれど、一個上の男の子とこれから遊ぶんだと言われてしょぼんとして帰った。好きだったわけでもなく、名前も顔も覚えていないけれど、初めて感じたふられた様な気分。
小学2年の時に少し広い借家に引っ越しをした。何日か経って、父と一緒に子犬をもらいに行った。犬小屋から子犬がひょこひょこと出てきて、そのまま抱きかかえて帰って、犬小屋をトンテンカンと作って。夢だった自分の犬との生活が始まった。
転校した学校で仲良くなった友達。学校の帰りもほとんど一緒で、彼が毎週買っていた週間少年ジャンプを彼の家に行って読ませてもらって。手羽先を食べたりタラコでご飯を食べたり。『ひとり』に慣れた友達にいつも感動していた。
5年生になると運動に目覚め、鉄棒でくるくる回って飛んで着地みたいな事をしていた。バク転、バク宙も覚えて、同学年では誰も出来ていなかったから少しだけヒーロー気分。
6年生の時、体調不良で体育の授業を休んで校庭のみんなを眺めていた教室。一緒に休んでいた女子3人が、○○ちゃんが僕のことを好きだから、キスさせてあげてと迫ってきた。嫌がる僕を友達2人が押さえつけて、その子が僕のほっぺにちゅ。
それぞれの思い出は景色も音も匂いも伴っている。ひとつの思い出だけで一片の投稿になるくらいなのだが、今日はそんな思い出たちをぽんぽんと並べてみた。
一緒に思い出を探しに行きませんか。思い出たちは心をほぐし、ちょっとだけ今を照らしてくれますよ。それらを書き留めるのもいいのかも。
さあ、恥ずかしがらずに。