青森県はご存知の通りりんごの産地である。国内の生産量の6割を占める。消費の方法は生食からジュース、お菓子と幅広く、ジュースの製造量も思いのほか多い。

 加工素材としてりんごが優秀な一方で、ジュースに加工した際の搾りかすが大量に出て、廃棄するのにも費用が発生するなど厄介者扱いされている。

 そんな状況下、今、ヴィーガンレザーが注目を集めている。搾りかすを乾燥、粉砕し、合成樹脂に織り交ぜて革の風合いを出す、いわゆるフェイクレザーのひとつだ。石油製品の使用を極力抑えたレザーは環境素材としても評価が高い。

 ヴィーガンレザーの発信者として奮闘しているおふたりを紹介したい。

 ひとりは、『うんこミュージアム』の仕掛け人としても活躍されている、青森県にルーツを持つ香田遼平さん。制作したポーチやバックは大人気で、限定生産された製品は全て完売。そのデザイン性も併せて人気である。

 もうひとりは、苦労をしながらレザーの開発に漕ぎつけた藤巻圭さん。ANAが展開するグリーンジェットの背もたれ部分の布地に採用されている。グリーンジェットとはその名の通り、環境に配慮した、廃機の際に極力産業廃棄物を出さない旅客機である。ANAでは今、名刺入れやバッグなどの小物の販売も始めている。


 この様な果汁の搾りかすを廃棄物にしない取り組みは、りんごに関わる産業の振興も呼び起こす。引いては県内の総生産を引き上げ、雇用を創出してゆくだろう。


 やる人はやるもんだと、改めて思う。


 ヴィーガンレザーの飛躍に期待したい。