先日、六ヶ所村沖太平洋の商業捕鯨で捕獲されたオスのミンククジラ1頭が八戸港に水揚げされた。八戸港での水揚げは2年ぶりなのだそうだ。

 僕も長い間クジラを食べていない。子どもの頃は当たり前の食材で、水揚げがあった時にはパックされて魚屋さんやスーパーに一斉にと言うか大量に並んだものだ。


 クジラを捕獲する事には全世界が強く反発した。知性の高い哺乳類を殺すことは残酷だと。海外の保護団体は捕鯨船の周囲に張り付いて漁を妨害した。当然、国内でも違和感を覚える人もいるだろう。僕もその感情は理解できる。同じ海での漁で比べるのは、全般的な魚とクジラだろう。クジラの知性の高さと、家族と共に過ごす生き方を以って可哀想だと感じていると思う。

 保護団体は、北極海沿岸で暮らすイヌイットなど先住民がクジラを食するのはやむを得ないと言う。生きるための数少ないタンパク源でありビタミン源であることがその理由だ。一方、日本では、他の食べ物が豊富にあるのになんでクジラを食べる必要があるのかと。

 日本では古来クジラは重要なタンパク源であり、脂肪はカロリー源であり燃料であった。皮は住居の防寒の為に使われたり衣服として使われたりしたと言う。


 だから沢山獲らせろ、食べさせろと言うことでは無い。日本の生活文化であった事に目を向けず、あちらはいいが日本はダメだと言う議論は片手落ちだと思うだけだ。


 現代は物価高ではあるものの食材はふんだんにある。だから僕も我先にとクジラ肉を求めない。


 半世紀前からの反発と議論の原点が違っていたのだと知って欲しい。