TBSで放送中の多部未華子さん主演の『対岸の家事』でのお話。

 ちょっとした事から言い争いになり、両親が既に他界した旦那さんと、父親はいるけれども会いには行けない主人公が、お互いに自分の辛さは分からない筈だと相手を拒否してしまう。気まずい雰囲気のまましばらく時を過ごす。そして何日かすると、あの時はごめんなさいとお互いに謝る。

 一方、娘が風邪気味でかかりつけの病院に行くと、受付をしている女性が普段通り優しく接してくれる。ところが彼女は姑や年配の患者さん達に子供はまだなのと事あるごとに尋ねられる。ご主人のお母さんにも常に気を遣い、その事を気にしてくれたご主人にも、自分は大丈夫、貴方こそ疲れているでしょう、おやすみなさいと心を包み隠す。誰にも相談できない彼女は追い詰められてゆく。


 このふたつのエピソードの違いが分かるだろうか。それは、自分を発散させる機会があるかどうかである。ちょっとした事で夫婦喧嘩をしてしまっても、その時の嫌な気分は幾分晴れる。片や誰にも相談できずに、それでも笑顔でいなければならないとストレスが溜まり心が壊れてゆく。


 互いにちょっとした不満を持ちながらも夫婦は同じ時を過ごしてゆく。楽しい時もあれば、仕事をしながら嫌な思いをする事もある。そんな時、近くに居る伴侶とたまに言い合いになり、気まずい思いもする。でも、言いたい事を言える一瞬が大事なのである。


 喧嘩をする相手が居る事は鬱陶しい事ではなく、実は幸せなのである。


 なんちゃって。