時代劇といえば、腕の立つ浪人だったり、身分が高いやはり腕が立つお武家さんが市井に出て悪者を懲らしめる、いわゆる勧善懲悪が基本だ。大岡越前や遠山の金さんでは、本物の悪者は遠島を申しつけられ、心ならずも加担してしまった様な場合は江戸所払いを言い渡される。悪者は様々登場する。
今、NHKの朝ドラでやなせたかしさんと奥さんを描いた『あんぱん』が放送されている。とても面白く、若い2人を応援しながらいつも楽しんで観させてもらっている。
20年ほど前だろうか、やなせたかしさんが漫画『アンパンマン』をどういうコンセプトで生み出したか、その思いに触れる機会があった。
例に挙げた時代劇は悪者は入れ替わり立ち替わり登場しては成敗される。それに対して、『アンパンマン』に登場するバイキンマンは懲らしめられてもまた現れる、謂わば懲りない悪者だ。主人公は食べ物ヒーローで相手はバイ菌。まるで台所で戦いが繰り広げられているかの様だ。
やなせたかしさんは、バイ菌は消滅させようと思ってどんなに対策しようとも必ずまた現れる存在として捉えている。そして、食べ物の近くに常に存在するものだと。そのどこまでも続く戦いを、様々なキャラクターを登場させて温かく見守る様に描いてゆく。
普段から台所を綺麗にして、うがいや手洗いをきちんとしようね!と教えてくれている。