昨年BSで放送された『大岡越前』が、NHKの地上波で時差放送された。主演は高橋克典さん。脇を固めるのは奥方役の三村里江さん、榊原伊織役の勝村政信さん他。重厚な趣ながら、町に出て市井の人々と触れ合う柔らかさは相変わらずだ。

 初代の大岡越前役は加藤剛さん。TBS系列のナショナル劇場の枠で、『水戸黄門』と共に順繰り放送された人気シリーズだ。榊原伊織役は竹脇無我さん、奥方役は宇津宮雅代さん。書いていても身震いするほど懐かしい。

 この長く続いたナショナル劇場が終了し、14年の時を経て番組はNHKに引き継がれる。主演は東山紀之さんで、テーマ曲もそのまま。曲の垣根を超えての番組継続は、当時も今も考えられないことだ。


 加藤剛さんが演じて、長きに渡り人気を博した『大岡越前』だが、その後に演じた東山紀之さんは、もう加藤剛さん以外考えられない大岡越前役をよく引き受けたと思うし、NHKも良くキャスティングしたと思う。その後を継ぐ高橋克典さんにしてもまさしく大岡越前である。


 相撲の世界では、そもそも強い四股名など存在しないとよく言われる。力士が活躍することで、付けている四股名の響きが強さを増すというものだ。


 東山紀之さんも高橋克典さんも堂々と大岡越前を演じて、『大岡越前』という番組の名を更に名作中の名作と言わしめている。