夜の食事の時間から光り、轟いていた雷は近づいたり遠のいたりしながら、一時間以上も続いている。雨も強くなったり弱くなったりを繰り返している。

 布団に入って目を閉じてもなお、稲光はくっきりと網膜に届き、数秒後に張り詰めた空気を雷鳴が切り裂く。恐怖感は微かにあるものの、近くに中学校の校舎が建っていることもあり、落ちるとすればその避雷針だろうという安心感が強い。


 真っ暗な寝室の中で妻と話をする。

「あっ、また光った」

「光った」

早い時には一秒で雷鳴が轟くことも。

「わー」二人で声を上げる。そして稲光と雷鳴は繰り返し、少しずつ遠ざかる。


 雷が何度か行き来したのち、遠くで轟いたのを最後に数分が過ぎた。

 僕は「終わったみたいだね。何だか寂しい感じ」と呟いた。

 妻も「何だか変な感じ」と言った。


 程なく、妻の寝息が微かに聞こえてきた。


 こんな夜も悪く無い。だから僕は雨も雷も嫌いじゃ無い。