青森県でもあちらこちら開花が宣言され、弘前公園でも外濠の一部で開花が確認された。いよいよ桜まつりの始まりである。
歴史上、桜を愛でるための宴(うたげ)、今で言う『お花見』を初めて行ったのは嵯峨天皇で、812年に京都御所近くの神泉苑で行った『花宴の節』が、お花見の起源であるとされている。
嵯峨天皇といえば嵐山と連なる嵯峨野を連想する方が多いと思う。嵯峨野は嵯峨天皇が深く愛した地であり、ゆかりの深い地であることからそう呼ばれる様になったという。
別荘地として造営された大覚寺。大沢池が美しく、僕の最も好きな場所の一つである。更に、嵯峨天皇の御陵は大覚寺に程近い北側の山裾の丘陵地にある。
そして、天龍寺、常寂光時、祇王寺、化野念仏寺など、多くの寺がある。京都という大都市ながら、高い建物もなくひっそりと佇んでいる。この地は古来、皇族、貴族や有力者たちの行楽地、別荘地だった。
京都を一週間程訪れた時、妻のシャンプー&ブローのために美容室を利用した。妻がこれから嵯峨野を訪れると言った時、対応してくれたスタッフが「嵯峨野には何にもありませんよ」と答えたそうだ。やはり『灯台下暗し』なのだろう。
確かに、「青森には何もない」と言うコメントを時折耳にする。日々暮らしていて目に馴染んでいる光景は、なぜか美しいとか壮大だとか思えないのだろう。
ところが、青森県には八甲田連邦があり、十和田湖があり、日本海側には十二湖や十三湖があり、津軽半島がある。そして下北半島に八戸の種差海岸。海鮮は総じて美味しく、それぞれの地域に更に郷土料理がある。
また、春の風景、夏の風景、そして秋の紅葉。雪が積もってもなお美しい山々。季節によって様々な表情を見せてくれる。夏には青森ねぶたや弘前ねぷた、八戸の三社大祭があり、冬には各地で雪を楽しむイベントが催される。
青森県を是非とも訪れて欲しいし、僕も地元青森を満喫したいと常々思っている。
嵯峨天皇が嵯峨野を愛した様に、僕は青森を愛する。