1月15日に、岩手県釜石市で『スネカ』という小正月の行事が行われたとのニュースが流れた。各家庭を訪問する者たちの姿はまさしくナマハゲそのもので、やはり家でゴロゴロして怠けている子供達を戒めるためなのだそう。野田村では『ナモミ』と言い、県内各地で似た様な行事が行われている。


 起源は様々言い伝えられている。秋田の『ナマハゲ』は、漢の武帝伝説(鬼伝説)や山の神の使者説、古来異邦人説などである。

 実は、この様に鬼面を被って戒めたり災いを追い払ったりする行事は日本各地に残っている。総じて日本海側に多いのだが、北は秋田県から南は沖縄県まで。見た目の違いこそあるものの、この地域的な広がりは、起源が単にその土地だけの伝説に留まるものではない事を示している。

 2018年に、国内10ヵ所の祭りが『来方神 仮面・仮装の神々』としてユネスコ無形文化遺産に登録された。これは、2009年にユネスコ無形文化遺産に登録された、鹿児島、甑島(こしきじま)の『トシドン』を拡張登録したものである。以前より南方諸島における仮面文化との繋がりは指摘されていたが、表情に違いこそあれ、北へ北へと繋がってきた風習である。


 原日本人は、アイヌの人達を含む縄文人に加え、大陸から渡ってきた弥生人が混血した事がわかっている。同時に南方系の文化が経済交流の中で沖縄などの島々にもたらされた。異形の姿の力強さと霊験に強く憧れて、その奇祭、奇行は北進した。特に海洋経済交流に深く結びついていた日本海航路を通じて日本海側に広がったのだろう。

 登録されているのは、宮古島の『バーンドゥ』、鹿児島の『トシドン』、『メンドン』、『ポゼ』、佐賀の『カセドリ』、山形の『アマハゲ』、秋田の『ナマハゲ』、岩手の『スネカ』、宮城の『米川の水かぶり』。


 書いていると、古代のそれぞれの場所を訪れたくなる。ここは是非ともドラえもんにお願いすることにしよう。