朝起きて、渦中の韓国のユン大統領が逮捕されたとの報道に触れた。また、既に排除されたものの、大統領の支持者たちが抗議活動だとしてガラスを破るなどして裁判所に入り込んだという。何だか、4年前のアメリカでの、死者も出た狂った騒動が呼び起こされてしまう。


 世界のほとんどの国家は法治国家である。中国ですら国内統治のための法律があり、その法律に沿って国家転覆を目論むなどの罪などが適用される。日本人がスパイ容疑で拘束されるのも、納得できるできないではなく、法に基づいた措置なのだろう。

 それら法律は、ほとんどの国家の場合議会で審議され、採決され、制定される。その議員達は国民によって選出される。これを根拠とし、民主国家と呼ぶことができる。中国に関しては今は論じない。

 アメリカでは、大統領個人の裁量で政令を発布、執行することができる大統領令が憲法により認められている。大統領も国民によって選出されているので、その代表者が民意を反映させて制定、執行していると言える。しかし、余りにも一方的で多数世論を形成する議会の意見とそぐわない場合は、大統領令の発効を禁じる法律を制定することもできるし、連邦最高裁が違憲判断を下して失効することもある。

 アメリカの大統領がいかに横暴に振る舞おうと、ブレーキは存在する。今回の韓国の問題もそうである。触れた範囲では、大統領本人曰く、戒厳令発令は議会が再三に渡って予算案を含む各法案の成立を阻(はば)んだために国家運営が停滞したためだとのこと。そんなのはいくらでもあり得る話で、話し合いや説得によって解決するべき問題である。従って、戒厳令そのものを国家転覆の手段と捉えられても仕方あるまい。


 さらなる問題は、支持者達の行動である。デモは言論の自由の発露方法の一つなので、平和的であれば認められる行為である。しかし、暴力を振るってはいけない。人に対するものではなくても、一枚のガラスを割ることも、公的機関であれ私的建造物であれ許可なく侵入することも暴力であり、言語道断である。


 民主主義世界の屋台骨を支えるアメリカのみならず、韓国でもその様な事態が起きたことは、この後の世界の流れにどう影響するのだろう。

 ネット社会であり、その空間で誹謗中傷や偏った意見が必要以上に流布される現代。私たちが住む日本でも、不正とは言えないまでも理不尽な手法によって自治体の首長選挙の結果が変わってくる『いびつな』事例が既に起きている。


 急速に一方に偏って膨らんだ民意による結果になった時、貴方はどうしますか。集団でなだれこみますか。きちんと考えておかなければいけない事のように思う。


 僕も今現在、きちんと自分を保つことができているのだろうか。事の大小に関わらず、問い続けなければいけないと思う。