チベットで大規模な地震が発生した。1月7日時点で確認された死者は126人だが、倒壊した家屋の概数からすると、桁の違う話になるではないかと危惧している。

 地震大国と言われる日本でも、家屋の倒壊は死傷者の数を大きく左右する。近現代の歴史上、政策面でも民間技術面でも、地盤、建造物の構造双方の視点から耐震性の強化が図られてきた。しかしながら、大地震となればどうしても家屋の倒壊は付きまとう。


 そもそも、アジア大陸の内陸側はプレートがぶつかり合うため、大きな地震が引き起こされる。インドオーストラリアプレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートが古代からひしめき合う。旧インド大陸が南半球から回転しながら移動して、ユーラシアプレートに衝突して下に沈み込むことでヒマラヤ山脈ができた事は広く知られている。

 加えて、チベットは中国の自治区である。自治区とは、中国政府が歴史上中国の治世下にあったとする地域に対する施策で、州政府を持たせながら住民の意見を反映させた政策を行なっていくという、地域の民族、住人を尊重するためのものだが、実情は大きくかけ離れている。

 5つある自治区では、常に人権侵害問題が国際社会から提起され、特に新疆ウィグル自治区とチベット自治区では思想強要と漢民族への同化政策が行われてきた。そんな自治区に、我々が想像する民主主義や民族尊重主義は存在しない。一人一人の命を守るための地震対策の強化が進められる筈がない。中国は自治区の民族ごと地域を反映させたいのではなく、その広大な土地を領地として欲しているだけなのだから。


 今ロシアがウクライナに対して起こしている侵略と同じ構図がそこにある。


 国際社会に問題視しされていることなど何とも思っていない中国がここにある。