中学生になって、初めて自分の自転車を買ってもらった僕は、遠くに遊びに行ける喜びを味わった。家から12km程の浅虫海岸へ潜りに行ったり、へえこらへえこら山に遊びに行ったりもした。自転車様々だった。


 高校生ニ年生の時、友達の持っていたバイクを初めて運転した。もちろん無免許で。青森港の中の道路じゃない区域だったので、道交法には引っかからない。それでも、港湾施設の中を勝手に走っていい筈はないので、一つ間違えれば補導騒ぎになったと思う。

 この体験がとても楽しかった。当然、自分のバイクが欲しいと思った。しかし、高校では何某(なにがし)かの理由がなければ免許を取る事はできなかった。遠くから通うもののバスも電車も便が悪いとか、家の手伝いをするのに必要だとか。高校在学中は諦めざるを得なかった。


 大学に入って、バイトをしながら原付免許を取った。生まれて初めての国家資格免許証である。すぐに50ccバイクをざっと10万円で買った。YAMAHAのMR50というバイクで、オフローダーの子供みたいなスタイリングで、小さいけれど格好が良かった。

 周りでも原付バイクを買った友達がいて、4台で十和田湖一周みたいな事もした。

 大学へは六ヶ月間の定期券を買って電車通学をしていたが、たまにバイクでも行ったものだ。ただし、原付バイクは一人乗りで、しかも制限時速は時速30kmなので、何かと不便はあった。メーターは80km迄刻んであったが、出すのはせいぜい50kmまでだった。


 何かと不便ではあったが、自由に何処へでも、何処までも行けるという感覚が堪らなかった。


(つづく)