もうすぐ冬が来ます


風が落ち葉を巻き込んで

クルクルと吹いています


体の小さな 小シマリス

せっせとどんぐり集め

拾ってはお口に入れて 土の中の巣に運ぶ

一昨日も 昨日も 今日も


お隣さんの 体の大きな 大シマリス

小枝のハンモックで いつもお昼寝

一昨日も 昨日も 今日も


大シマリスは 小シマリスに

毎日毎日 こう言います

どんぐり ひとつ いいだろ って

小シマリスは 笑顔で どうぞ って

大シマリスは その場でムシャムシャ


ある日の大シマリス 見つけてびっくり

袋の中に たくさんのどんぐり

きっと 『ひと』が落としていったもの

力持ちの大シマリス

どっこいしょらせと 運んでく


大シマリスは 小シマリスの家の前

ふうっとひと息 ひと休み

そこに 小シマリスがやって来た


おい 小シマリス 何個か持ってけよ


ありがとう でも いらないよ


なんで ありがとうだよ

俺に取られて いつも 悔しかっただろ


ううん 僕 取られてないよ

あげたんだよ 困ってたみたいだから


大シマリスは う〜ん と 唸りました

腕を組んで う〜ん と 考えました

そして 言いました


取られたんじゃなくて くれたのか

そうだったのか もらったのか

じゃあ 言わなきゃな

いつも ありがとう


ありがとうって言ってくれて ありがとう


大シマリスは ポカンと口を開けました

照れくさそうに 小シマリスを見て

ポリポリ お腹を掻きました

そして 袋の中のどんぐりを

ふたつ、みっつと 家に運び始めます


風が落ち葉を巻き込んで

クルクルと吹いています


また少し 冬が近づきました