未だ暑い日が続いている。しばらくは季節の端境を行ったり来たりしそうだが、今日などは最高気温が26℃予想である。

 TVでも秋の話題がちらほら。一昨日は本栖湖付近でのコスモスが紹介された。青森でも3、4日前に市内のコスモスの話題が流れていた。


 コスモスは漢字で『秋桜』と書く。春の花ではタンポポは『蒲公英』、夏の花ではアジサイを『紫陽花』、ヒマワリを『向日葵』などなど。子供の頃、一番最初に覚えたのが『秋桜』で、次が『向日葵』だったと思う。

 小学一年生から少しずつ漢字を習い、花の名前の漢字は高学年になってからだったと思う。覚えると少し大人になったような気がしたものだ。

 逆上がりができた時、初めて一人でバスに乗った時、お小遣いで初めて本を買った時、そして好きな人ができて初めて想いを伝えた時。日々新しい体験をする中で、階段を一段ぴょんと上がったかのように感じることがある。そんな、成長の実感を与えてくれる経験は挙げると切りが無い。


 様々な事柄が子供を成長させていく中で、花の名前を漢字で読み書きできる様になる事は、他の事柄とは成長の方向性が違う。階段の横にある小さな扉をそっと開けてみると草原が広がり、遠くの山並みに思いを馳せてみる。今よりもっと遠くの世界が続いているのを感じたりとか。幅や奥行きを感じる成長。

 うまく表現できない自分がもどかしい。


 漢字の持つ雰囲気に触れ、意味合い感じ、いにしえびとが一文字一文字に込めた想いを夢想するのである。


 これから少しずつ秋を迎える。花や生き物を愛でながら、足を止め深呼吸をして、季節の移ろいや空の変化を緩やかに感じたいと思う。