久しぶりに娘が二泊した。クラフト展を訪れてお気に入りを見つけたり、お義母さんと四人で食事をしたり、夜は西瓜を食べたり。日常に近い、何気ないことでも、娘がいることで少し華やかになり、心落ち着く時間が流れる。

 娘は相変わらずのおっちょこちょいで、脱いだパジャマが見つからないとか、外したヘアゴムが見つからないとか、お年寄りがメガネを頭に押し上げているのにメガネを探す様なことを沢山披露してくれる。


 50年の長きに渡り月曜日夜8時から放送された『水戸黄門』に、うっかり八兵衛という人物がこちらも長きに渡り登場する。普段は黄門様の使用人として隠居宅で仕え、旅に出る時もいつも一緒。おっちょこちょいで食いしん坊、荒っぽいことは苦手だが正義感も強い、憎めないキャラクターである。

 クールの冒頭では、黄門様に「そろそろどこかに行きましょうよ」とお茶目な表情でせがむ事もしばしば。道中、動けなくなるほど食べたり、可愛らしい町娘にほの字になったり。ちり綿問屋の若旦那に仕立て上げられることもしばしば。

 町人にもかかわらず、助さん角さん、そして黄門様にも平気でつっこみを入れる。当然、うっかりさんだからみんなに突っ込まれ、からかわれ。和やかな会話の中心には常に八兵衛さんがいる。

 高橋元太郎さんが演じるうっかり八兵衛は視聴者に最も愛された不動のキャラクター。子供の頃は親が観るので仕方なく観ていた番組で、おちゃらけて失敗ばかりする八兵衛さんにちょっとうんざりしていたが、僕も少年から青年、成年へと年月を経るに従い八兵衛さんが大好きになっていった。

 その風貌も、そして話す声までが鮮明に脳裏に蘇る。

 同じ役はもう望むべくもないが、またお目にかかりたいと思う。


 うちの可愛らしい『うっかり』さん!

 忙しくて大変だと思うけど、また来るんだよ。