予選会前夜。
明日は大事な予選会という事で早々に稽古を切り上げ明日に備える。
つもりだった…。
僕は落ち着かなかった。
いろんなものが妙に気になる。
それは、まるでテスト勉強をしようとすると急に普段しない部屋の掃除がしたくなる。学生のそれと似ていた。
僕は普段乗っているバイクの整備が無性にしたくなった。
なぜ今?
明日は大事な予選会。
だけど気になる…
時計を見て、少しだけ、少しだけしよう。
結局
一度いじりだしたら収集がつかなくなり
僕は朝までバイクをいじっていた。
そのまま会場入りした僕は
寝ていないのにも関わらず緊張のせいか全く眠たくなかった。
緊張感のある控え室。
七十組近いコンビが集まっていた。
結成五年未満のコンビたち。
この予選会は誰でも受けれるわけじゃない、
受けれるのは事務所に認められた強者たちだけ。
他事務所の芸人たちと一緒になるのも初めてだった。
控え室に会場の様子が映し出されたモニターがあり、それを食い入るように見つめるコンビ。
モニターから笑い声が聞こえる度に控え室には緊張が走る。
全てがライバル。
みんなが敵同士。
みんな真剣な眼差しで、笑っている者など誰もいない。
控え室のあちこちでネタ合わせが行われている。
口には出さないが、みな一様に心の中では
『スベれ、スベれ』と唱えていた。
心臓が爆発して飛び出しそうな緊張の中
僕らの出番がやってきた。