どうすればツッコミを入れずに笑いを取れるのか?

試行錯誤を繰り返した結果


僕らはそれを成立させる一つの設定を思いついた。





『小学生にありそうな風景』




それは二人のくだらない無駄話から生まれた。




「小学生って基本アホやん。二人のアホな小学生がおんねん。二人はジャイアンとスネ夫みたいな間柄で、二人はいつもイタズラばっかりしてんねん。ある日、プールの授業が終わって教室に戻るとパンツが落ちてるのを発見すんねん。ジャイアンみたいな奴がこれを使ってイタズラしようって思いつく。それに乗っかるスネ夫。でも途中でジャイアンが自分のパンツがない事に気付くねん。でも言いだしっぺやし、スネ夫ノリノリやから言われへん」


「実はそのパンツによう見たらウンコついてるってのはどう?」


「それ、おもろいな!絶対言われへんやん。だってそいつ、いつもそういうの発見していじめてる立場やろ?」


「なんとかごまかそうとして、パンツを取り返そうとするジャイアンとそうとも知らずイタズラがしたくてノリノリなアホなスネ夫」





「小学生って学校でウンコするといじめられるやん」


「いつもそれ発見していじめてるジャイアンがウンコしたなるってどう?」


「ウンコしようとしてる所をスネ夫に見つかんねん」


「ごまかすジャイアンと疑うスネ夫」






「ジャイアンがぎょう虫検査にひっかかるってのは?」


「スネ夫アホやから俺が捕まえたる言うて、虫かごと網持ってジャイアンのケツに向かってずっと構えてるっていう」


「ジャイアンに、捕まえるからはよケツ出してって」





「二人で屁のこきあいしてたら、ジャイアンが勢いあまってウンコもらしてまう」


「ごまかすジャイアン」


「なんとかパンツをトイレに流して証拠隠滅に成功したと思ったら、次の時間身体測定って言われてパンツ穿いてないからメッチャあせるっていう」


「最後、流したパンツが詰まってバレるってのはどう?」


「明らかにバレてるのにジャイアンまだごまかそうとすんねん」





いろんな設定が湯水のように湧き出てきた。

二人で作っていて楽しくてしょうがなかった。

作りながら笑いが耐えなかった。

どんどん広がっていった。

それは、梅田のイベントに来てくれたお客さんにも共感を得て

どれもこれもが爆笑を生んだ。

しかし

どれも五分くらいあるネタだった。

短くても三分。

心斎橋の劇場の持ち時間は一分半。

その時間差一分半の壁。

あの頃の僕らには対応しきれなかった。




『僕らは心斎橋の劇場には向いてないのかもしれない』




梅田のイベントでグランドチャンピオンになると梅田にある会社の劇所に立てる。

そんなうわさがあった。

僕らはそれを目指そう!




世の中そんなに甘くない。

その直後、悲劇が襲った。

グランドチャンピオンに王手がかかったその月、突然イベントが終わってしまったのだ。

理由は若手の育成イベントは心斎橋に統一する。

会社の意向だった。

いわゆる大人の事情ってわけだ。

僕らの出る場所がなくなった。

その二ヵ月後、

ビルの老朽化を理由に心斎橋の劇場も閉館した。

若手の登竜門として

数々のスターを生んだ劇場。

今や誰もが天才だと憧れる先輩芸人の原点としても有名なこの劇場。

その劇場が静かに閉館した。




時を同じくして東京にあるこの会社の劇場も全て閉館。




今では考えられないが、ネタ番組は視聴率が取れないといって次々と打ち切られた。




お笑い冬の時代が到来した。



僕たちは出る場所を完全に失った。






コンビを結成して二年近く経った冬の事だった。