今更ですが…![]()
『形成外科に魅せられて』
私がまだ北里大学医学部の学生で、ポリクリと呼ばれていた臨床実習の時のことである。
将来の科を決めるにあたって、昔から工作やドールハウスを作ったりと、細かい事が大好きだった私は、ぼんやりと『形成外科』という科に興味があった。
形成外科の実習が始まるとほとんどは手術見学の日々。
その中で私が衝撃を受けたのは赤ちゃんの口唇裂形成術であった。手術が始まると思いきや、まずはデザインするための竹串を削る事から始まるのである。十分細い竹串をつんつくになるまで削り、そして始まったデザイン描きに要した時間は30分!
『このデザインがこの子とその親御さんのこれからを左右する。だから0.1mmのズレも許容してはいけない。』と何度も計測し、点を打っていく。
そして始まった手術のメスさばきも驚きである。デザインされた細かい三角の角、カーブにスースーっときれいにメスが入っていく。複雑に切り込まれ、パズルのような皮膚が入れ替わり、縫い目が分からないほどピタっと縫い合わせられ、終了したときには可愛らしい小さなお口が出来上がったのである。
私は完全に形成外科に魅せられた。
そして、当時は胸部外科と一二を争うほど過酷との噂の形成外科に迷う事なく入局した。
形成外科に入局し、多忙を極める日々の中でも、私は、日々行われる先生方の美しい手術に魅了され続けていた。手術の助手に入る事がとても楽しかった。
とうとう訪れた初執刀の日。私が初めて執刀した手術は子供の母斑であった。贅沢な事に、前立ちは尊敬する助教授であった。助教授の手術はデザインや手の動き方、全てがとても美しく、まさにゴットハンドであった。そんな先生の前立ちのもと、冷や汗で汗だくになり、私の初執刀は無事に終えた。
その時に助教授がかけてくださった言葉は
『お前はセンスがいい。これからも術野でおこっている事全てを見逃さないこと。これが一番肝心。』
今から考えてみれば、当時のフレッシュマンを鼓舞するために皆にかけていた言葉かもしれない。でも当時の私にとっては日々の疲れが吹っ飛ぶほど本当に嬉しい言葉であり、今だに心に焼き付いている。
その後、非人間的な生活をおくっていた大学から外に出た時、私は『美容診療』と出会うのである。大学では大掛かりな美容外科手術は多かったが、いわゆる美容皮膚診療というのは行われていなかった。恥ずかしながら、形成外科の勉強をしていながら『シミが取れる』とは思っていなかった。
初診の時は警戒心を隠しながら、シミだらけの顔でうつむき加減で先生の話を聞いていた患者さんが、どんどんキレイになり、診察室に入ってくる姿がまぶしく感じるほど『先生、見て!』と言っているように変わっていく。
毎日アイプチと戦っていた瞼を二重する。
両手で一生懸命持ち上げていた頬を、少し持ち上げる。
いつも怒っているような顔にさせているシワをなくす。
そうする事で患者さんはとてもおだやかで柔らかい表情になっていく。
そんな姿を見て、私はこんな世界があるんだと感動した。
そしてまた一段と形成外科に魅せられたのである。
形成外科は、『必ずしも無くても良い科』とくくられてしまう事も多く、実際に大きな大学病院や総合病院でも無いところはまだ多くあります。特に富山ではまだまだ認知されていません。しかし、私は、形成外科は本当に魅力にあふれた科だと思っています。形成外科を出来るだけ多くの方に知ってもらうよう、1人1人、1針1針、丁寧に診療する事からやっていきたいと思っています。
終わり
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開業して無事に2年半が経ちました。
口コミで来てくださる患者様も多く、本当に有り難いかぎりです。
スタッフのみんなも毎日毎日頑張ってくれて、本当に感謝の気持ちで一杯です。
今年もあの時の初心を忘れず、スタッフの皆んなへの感謝の気持ちを忘れず、日々『誠実な診療』を行っていきたいと思います。
今年一年も、これからもどうぞよろしくお願いいたします![]()
副院長Rでした
