「チャートのつぶやき」の基本理念

現在、株式投資におけるチャートの必要性は段々と薄れています。昭和の時代は、株価チャートは手書きで作りました。その時代株価チャートは、株式投資の貴重な指針になっていました。現在はコンピューターの発展で、チャートの作成は簡単になり、かつ様々な指標を取り入れた優れたチャートができるようになりました。しかし皮肉なもので、そのように優れたチャートができるようになった現代の株式投資に、チャートは不要なものとなりつつあります。理由はAIを利用した投資判断とコンピューターによる高速売買に変わったからです。

投資家層の大きな変化もありました。昔は個人が投資家の主流でした。企業は自己資金に乏しく銀行からお金をかりて設備投資に資金を使っていたからです。しかしバブルの崩壊と共に企業の設備投資はなくなり、物の生産は海外に移り、生産工程で働いていた人達の生活は一変しました。そして我が国は、長い(30年以上)金融緩和の時代に突入し、生産国家から金融国家へと変わりました。この変容は日本だけではありません。アメリカやEU諸国も先進国はすべての国家が、中央銀行の金融緩和に頼った政策に変わりました。必然的に世界に資金が余り、その資金が株式市場を動かし、ブラック社債へと流れています。加えて日本は、景気対策だと言って中央銀行(日銀)が株式を購入するという暴挙を行っている国家です。このような時代、このような国家での株式投資に株価チャートは無用です。しかしながら株価の過去からの流れ、そして現在の位置、それに基づく将来の株価判断には、株価チャートは欠かすことができない貴重な判断資料に変わりはありません。そのような観点にたって、このコラムを見てください。そして実際の投資判断は、各自の自己判断で行ってください。この資料に基づく、投資の結果生じるいかなる損害も負いかねます。金余りでAIの時代、AIの判断で、その資金の流れは一瞬にして一変します。くれぐれもご注意を。

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                                               田吾作