田吾作「今回は田吾作ファームで栽培中の里芋の品種 ①を紹介する。」
「里芋はインドからインドシナ半島が原産でサトイモ科サトイモ属の植物である。」
「名称は日本の山に自生している自然薯などの山芋に対して、外国から伝わって里で栽培することから里芋と呼ばれるようになった。」
「日本には稲作よりも早い縄文時代後期に伝わったとされているが、伝播経路は不明で、おそらく黒潮の流れに沿って北上したものと考えられている。」
「そのため野生化した里芋が日本各地に存在することが確認されており、中には県指定の天然記念物になっている品種もある。」
「実は日本原産の里芋は最も北の地域で栽培されているタロイモの一種で、本来は熱帯植物で温暖な気候を好む性質があるのだ。」
「またタロイモの語源はポリネシア語で芋を意味するTaroのため、西洋では日本原産の里芋とタロイモを区別せずにTaroと呼ばれている。」
「近年ではタピオカの原材料であるトウダイグサ科イモノキ属のキャッサバという芋をタロイモと呼ぶことがあるが、完全に別種なので注意が必要だ。」
「ヨーロッパでも地中海沿岸の地域ではタロイモを食べるが、特有の粘りは好まれないため、油で揚げたりレモン汁などで食感を調整している。」
田吾作「一般的に芋類は種芋を植え付けると茎や根の一部が肥大して芋ができるが、里芋は種芋が親芋になって子芋や孫芋が次々に付いて生えてくる。」
「この姿が親芋の周りを子芋や孫芋が囲むように見えることから、一家団欒の象徴として子孫繁栄を願う意味でおせち料理に入れられるようになった。」
「親芋は品種によっては固いため食用に適していない場合があるが、子芋や孫芋がほとんどできない品種もあるので特徴をよく調べることが大切だ。」
「また一部の品種は茎を食用にすることが可能で、柔らかく栽培したものはズイキ (芋茎) と呼ばれ、ハスイモのように芋を食べない専用の品種もある。」
「日本原産の里芋は稀に着花することがあるが、品種によって差が大きいため長年の栽培によって突然変異で様々な品種が生まれたものと思われる。」
「主に子芋を食用にする品種で、肉質は粘りがあって煮崩れしにくい。」
「晩生種で収穫量が多くて栽培しやすく、貯蔵性が高いため1年を通じて出回っている。」
「関東地方で多く栽培されており、石川早生と並んで里芋の象徴的な品種として知られている。」
「病害虫抵抗性は特にないので、種芋を消毒してから植え付け、栽培期間中に農薬を散布して防除する必要がある。」
「主に親芋と子芋を食用にする品種で、肉質はキメが細かくて煮崩れしにくい。」
「京都で多く栽培されており、土寄せしてエビのように曲げたものは海老芋とも呼ばれている。」
「古くから正月の縁起物としてお雑煮に入れて食べる風習があり、人の上に立つという意味と、芽が出るようにという意味が込められている。」
「病害虫抵抗性は特にないので、種芋を消毒してから植え付け、栽培期間中に農薬を散布して防除する必要がある。」
「主に親芋を食用にする品種で、肉質はホクホクしていて粘りが少なく煮崩れしにくい。」
「関西のおせち料理では定番の品種で、子孫繁栄や人の上に立つようにという意味が込められている。」
「名称は子芋が分球せずに親芋とひとつの塊になり、その見た目が頭が八つ固まっているように見えることから命名された。」
「病害虫抵抗性は特にないので、種芋を消毒してから植え付け、栽培期間中に農薬を散布して防除する必要がある。」
「唐の芋は主に子芋と孫芋を食用にする品種で、関西地方では見かけることが多く、海老芋として売られている場合は価格が高い傾向がある。」
「八つ頭は主に親芋を食用にする品種で、古くから関東地方でも見かけることがあり、関西地方でもおせち料理に入っているほど親しまれている。」
「明日の記事では里芋の栽培品種 ②を紹介する。」