田吾作「今回は田吾作ファームで栽培中のキャッサバの品種を紹介する。」
「キャッサバは南アメリカ原産でトウダイグサ科イモノキ属の植物である。」
「他の芋類と違って落葉低木の多年生植物で、主に茎を切って挿し木にすることで発根して生育し、根元にできる塊根を芋として食用にしている。」
「スペインによるアメリカ大陸の植民地化が始まる15世紀までには、中央アメリカから南アメリカにかけて主食として食べられていた。」
「そして17世紀に奴隷貿易が盛んになると、ポルトガル人は毒のあるキャッサバを黒人に食べさせたためアフリカを中心として世界各地に広まった。」
タピオカの作り方
田吾作「キャッサバには大別して毒性の弱い甘味種と毒性の強い苦味種があって、品種によって有毒なため基本的に毒抜きをする必要がある。」
「甘味種は有毒な皮や芯を取り除けば毒抜きせずに食べることができて、ジャガイモ風味の白色種とサツマイモ風味の黄色種が存在している。」
「苦味種はデンプン質が多くて大きな芋になるが、毒物のシアン化合物 (青酸配糖体) やリナマリンやロトストラリンなどが含まれている。」
「日本でも人気のタピオカは苦味種を原材料にしていて、グルテンが含まれていないため水分を加えて加熱すると糊化して抱水力が強くなる。」
「この糊化させたものを容器に入れて回転させると球状のタピオカパールになり、黒色や白色などに着色されて飲料やスイーツなどに使われている。」
台湾のタピオカドリンク
田吾作「日本で何回かブームになったタピオカドリンクは、1983年に台湾の台中市で喫茶店の春水堂が始めたことが発祥の由来だと言われている。」
「春水堂の店長が店員にタピオカをミルクティーやレモンティーと一緒に出したところ、相性が良かったため偶然にもタピオカティーが誕生した。」
「その一方で台南市にも発祥を主張する店があって裁判にまで発展したが、約10年の歳月を経て最終的に元祖を論じる必要がないという判決が下った。」
「この判決が出た同じ時期に台中市ではタピオカフェスティバルが開催されており、どこが人気店なのかを決めるタピオカ総選挙の投票まで行われた。」
「2004年には台湾政府が立法院 (国会) で多額の武器購買の予算案を通過させようとした際に、タピオカミルクティー武器販売と呼ばれたほどだった。」
ゴールデンキャッサバ
田吾作「ゴールデンキャッサバは甘味種のキャッサバである。」
「キャッサバはジャガイモ風味の白色種とサツマイモ風味の黄色種があって、この品種はデンプン質が多くてもちもちした食感をしている。」
「品種改良で毒物のシアン化合物 (青酸配糖体) はほとんど含まれておらず、皮を剥いて蒸かし芋や素揚げや天ぷらなどにして食べることができる。」
「栽培はとても簡単で、茎を挿し木にすると発根して葉が生えて生育し、痩せた土壌でも育つことから悪条件の場所でも栽培することが可能だ。」
「病害虫抵抗性は特にないので、栽培期間中に農薬を散布して防除する必要がある。」
田吾作「このようにキャッサバは日本での知名度は低いが、苦味種を加工したタピオカは人気があるので意外と食べられている芋だと言えるだろう。」
「キャッサバは2005年にフィリピンの小学校で29名が死亡して約100名が入院する事故が発生し、日本では苦味種の輸入を規制する措置が取られた。」
「後にこの事故は小麦粉と間違って農薬を使ったことが原因だと判明したが、有史以来キャッサバを食用にするために多くの犠牲者を生んできた。」
「現在の日本では甘味種と毒抜きをした苦味種しか出回っていないため安全に食べることができ、主に沖縄などの温暖な気候の地域で栽培されている。」
「皆さんも家庭菜園でキャッサバを栽培しては如何だろうか?」