田吾作「今回は田吾作ファームで栽培中のジャガイモの種芋作り ①を紹介する。」
「ジャガイモは南アメリカ原産でナス科ナス属の植物である。」
「秋ジャガイモの栽培に適しているのは休眠期間が短い品種で、男爵やメークインなどの休眠期間が長い品種は芽が出にくいため適していない。」
「ただ秋はジャガイモの種芋があまり出回っていないので、栽培したい品種があってもなかなか手に入らない。」
「そこで田吾作ファームではジャガイモの性質を利用して、春に買った種芋を冷蔵庫で休眠させて、夏に休眠打破して秋に栽培することにした。」
ジャガイモの種芋の芽出し
「したがってジャガイモを休眠させて芽が出ないようにするには、冷蔵庫で約3~5度の状態で保存するのがいい。」
「この理論を応用すれば、春に買った種芋を遮光性の高い黒色の袋に入れて冷蔵庫で保存させることによって、長期間の休眠が可能になるのではないかと思った。」
「そして夏の終わりに冷蔵庫から出して、ジベレリン処理で休眠打破させ、暖かい環境で光に当てて芽出しをするということだ。」
「そこで田吾作ファームでは、とうや、オホーツクチップ、レッドムーンという品種の種芋を春に買って、冷蔵庫で長期間保存することにした。」
レッドムーン
「なんと種芋は腐っていないどころか、休眠から覚めて芽が出ている状態だった。」
「他の品種の種芋も同様の状態で、冷蔵庫による長期間の休眠は成功したようだ。」
「ただ芽はすぐに傷んでしまったため、一度全ての芽を取り除いて再び芽出しをすることにした。」
「ここで種芋を強制的に休眠打破させるために、ジャガイモが休眠から覚める際に自ら分泌する植物ホルモンを人工的に与えることにした。」
「ジャガイモの種芋をジベレリンの5~10ppm液に30秒間浸すだけで、カフェインのような作用を発揮して休眠打破できるのだ。」
「それだけではなくジャガイモの収穫量を増加させるというおまけ付きだ。」
「ジベレリンは他の植物の種も休眠打破する作用があるため、確実に発芽させたいのであれば使ってみるのがいいだろう。」
「植物ホルモンは人体には全く害がないので安心して使うことが可能だ。」
レッドムーン (ジベレリン処理後)
「大分しぼんでしまったが、芽が出ているので休眠打破には成功したようだ。」
「他の品種の種芋も同様の状態で、休眠打破に成功して芽がちゃんと出てきた。」
「この後にメネデールという植物活性剤に30分間浸して栄養補給をさせてから植え付けた。」
「種芋に体力があれば、秋に購入したものと同じように元気に育っていくはずだ。」
「今回の結果でジャガイモは冷蔵庫で長期間保存しても、種芋としての機能は失われないことが明らかになった。」
「理論的には可能だと思っていたが、実際にやってみて意外とうまくいったので驚いた。」
「この方法を応用すれば、休眠期間が長い品種でも秋ジャガイモとして栽培できるかもしれない。」
「明日の記事ではジャガイモの種芋作り ②を紹介する。」