こんにちは!耕す太郎です。




お酒の勢いとは怖いものです。




今までは自分からそんなことをした事はありませんでした。




やはりお酒が入っていたせいでしょう…




シャワーを浴びている時はまだ後悔はしていませんでした。







しかし…失ったものは…







無くなってから気付くんですね…








、、、、、、、、、。








前髪、、、、。




確かに少し伸びて来てるなとは思っていました。




お嫁ちゃんにお願いしようかとも思いましたが、まあ自分でも切れるだろうと思い…




クシも使わず…




ただハサミを入れたのでした。













翌朝。




長女ちゃん(10歳)が僕に言ってきます。




「おとうさん、前髪短くない?」




長女ちゃんよ、どうして君は半笑いなの?




大丈夫だよ、大丈夫。




ヘアーワックスを付ければなんだかんだで決まるわけです。




はい!



どん!







ナスです。












ガタンゴトン、ガタンゴトン…






地下鉄の車窓に映るのは…






はい、どん!










ナスです。













職場に到着。






パソコンを立ち上げようと電源を入れました。






画面の中央には起動中のため丸い輪っかがクルンクルンしています。





そしてその暗い画面に反射してるのは…





はい、どん!







ナスです。




想像以上にナスです。




これはまずいです。











耕す太郎44歳。




中間管理職の中年太郎。




なかなか僕の前髪をイジって来る人はいません。




むしろイジってくれた方がどれだけ楽か。





きっとあの人もあの人もあの人も…





僕の事をナスだと思っているはずです。





ああ…なんて事をしてしまったんだ。















僕は立場上、いっちょまえにも面談なんてものをやるわけです。




部下には耳が痛い事でも伝えなくてはいけません。




どういう風に言えば真意が伝わるか…




何をしてあげればこの子は成長出来るのか…




そんな事を考えながら話しをします。








でも…







ナスです。













僕はいたたまれなくなり休み時間にある女性社員に切り出しました。




さり気なく、何気なくて…




「なんかさあ、髪の毛、切り過ぎちゃったかもしれなくもないんだよね!ははは!」



「ええ?そうですか?全然気になりませんよ!」



「え?そうかな?」



「大丈夫ですよ!」



「変な話ししちゃってごめんね!」



「全然平気です!でも…」





ん?




「私も前髪切ると失敗しちゃうんです」




え?




私も…




失敗…








酒の勢いとは怖いものです。





当分の間はナスです。




おしまい。