こんにちは!耕す太郎です。



「怒る」と「叱る」



いつの間にか中間管理職の中年太郎44歳。



仕事をする上で避けては通れないのが部下の教育です。



まだまだ若輩者ではありますが、ある程度の年も重ねて来たので気を付けている事があります。



もっと若い頃は情熱とは名ばかりの独りよがりな指導だったと思います。



それではいつまで経っても部下は育ちません。



そりゃあそうです。



自分の感情を剥き出しにしてぶつけているに過ぎませんから。




「怒る」




この漢字の中に心が入っています。



これは自分の感情なのでしょう。






やはり「叱る」じゃないと、いけないのかもしれません。




感情を出さずに、静かに口で言って聞かせる。




まあそれが中々難しいし、自分が思った様に人は動かないから大変なんですよね。






上手く行かない事もありますが、家に帰れば温かいお風呂と美味しいごはん。



これだけでまた明日から頑張れるわけです。



そして、僕はいつものようにのんびりと湯船に浸かっていました。



するとリビングの方から騒がしい声が聞こえてきます。



どうやらお嫁ちゃんが娘たちを怒っているようです。




「怒る」




そりゃあ、お嫁ちゃんは仕方がありません。



朝からずっと一緒にいるのですから、感情的になる時もあるでしょう。



それにお嫁ちゃんは無茶苦茶な事で怒る事はありません。



絶対に娘たちが悪い事をしたのでしょう。



その時、お風呂の扉が開きました。



鬼の形相でお嫁ちゃんが顔を出して来ました。



「お父さんからも何とか言ってね」



これはただ事ではありません。



お嫁ちゃんは「怒る」これは仕方がありません。



それならば僕の役割は「叱る」です。







感情的になるな…







感情を出すな…







そして次女ちゃん(6歳)が裸の状態でお風呂に入って来ました。



その次に落ち込みながら長女ちゃん(10歳)も裸で入って来ました。



お風呂の外からお嫁ちゃんが怒ってます。



「自分たちでちゃんと落としなさいよ!!」








感情を出すな…







感情を出すな…







僕は今、どんな表情をしているか分かりますか?







渡部篤郎。







彼が悲しい芝居をする時の表情と同じ表情をしております。







そんなに悲しいんですか?







いいえ違います。






本気で笑いを堪えると、人は悲しい顔になるんです。







感情を出すな…








感情を出すな…





ここで僕が笑い出してしまうと、僕もお嫁ちゃんに怒られます。



それにしっかりと娘たちを叱らなくてはいけません。





感情を出すな…





次女ちゃんの顔には下手くそな化粧が施されております。



「おとうさん、ごめんなさい」



どうやら禁止されていたお化粧をこっそりやっていたようなのです。



「おとうさん、ごめんなさい」



半べその長女ちゃんの鼻の下にはプリングルスのキャラと同じようなのクルクルの髭が書かれております。



「言うこと聞かないでごめんなさい」



僕はありったけのお湯で顔を洗います。



さらに長女ちゃんの顔を見ると小さな額に「肉」の文字が。



何も言わない僕に悲しくなって、「肉」と書かれた少女はシクシクと泣き出しました。









感情を出すな…









扉がガチャリと開かれました。



「ちゃんとお父さんに説明してよね!今日はずっと何の言う事も聞いてくれないんだから!」



お嫁ちゃん、君はサイコパスなのかい?



どうして普通に娘たちを怒れるの?



1ミリたりとも笑いを堪えてないではないかい。









駄目だ…






駄目だ…








長女ちゃんは自分で鏡を見ながら「肉」を額に書いたようです。




その文字はとても、とても綺麗な字なんです。




限界が来てしまい、ついに笑ってしまいました。




それにつられて娘たちも泣きながらも笑い出してしまいました。





みんな堪えられずに笑っています。












一人のサイコパスを除いては…












お嫁ちゃんに叱られるのは難しそうです。




おしまい。