世界文化遺産
今回歩きに来た奈良県の春日山原生林は世界自然遺産じゃなくて、世界文化遺産だそうです。
そこは1000年以上前から、春日大社の聖域として狩猟や伐採が禁じられた森なんです。古くより、信仰などをもって自然の森を保って来たからこその文化遺産なんですね。
きょうの天気はまずまずのようなので、そんな手つかずの原生林の散歩へ。
京都の伏見稲荷神社のご神体は稲荷山、日本最古と言われる奈良の大神神社は三輪山がご神体(三輪って素麺で有名)。
ここ春日大社も春日山(標高496m)を神の降臨するご神体として崇め、人の手が及ぶような場所ではなかったのでしょうね。
まずは大阪難波駅から近鉄電車奈良線で近鉄奈良駅へ向かいます。
(奈良に向かう車窓から、大阪平野を望みます)
電車が生駒山方向にカーブを曲がって行くと、
徐々に標高を上げて車窓に大阪平野が広がります。あまり見る事がないこの景色、大阪中心部のビル群が遠くに纏めて見えます。
奈良公園内、いつになく多くの鹿がくつろいでますねぇ。外国からの観光客も同じく、今までで一番多く見かけたような気がします。
「奈良に観光で訪れても、みんな京都に泊まってお金を落とさない」って、一時よく耳にしましたが、今はどうなんでしょう?
"鹿せんべい"、奈良公園では外せない光景。
せんべいを買おうとしている私は、既に鹿達の注目を集めています。
そんな中、まだちっちゃな鹿に見つめられるとこの子にあげたくなります。
(1歳位?)
ですが、
ちっちゃい子は、丸いおせんべいに比べて少し口が小さいようで、大人より食べるのが遅い(笑)
大人の雄は自分の順番を待ちきれず、小さいのを頭で押しのけて、強引に私の目の前に陣取ってきます。圧迫感はあっても、角は切られているので危険は感じません。
(おっと、待ちきれずに立ち上がった(笑))
結果的に7:3ぐらいの比率で厚かましい大人に食べられてしまいました。
行儀良くお辞儀をして待つのもいれば、そうでないのも。鹿に囲まれ、後ろから服を引っ張られたりもするけれど・・・、人と違って可愛いもんです。
のどかな光景(笑)
シ-トを敷いてずっと座っていたい気分・・・
郊外学習でしょうね!?
大きな声で元気な小学生たちに、
鹿2頭が楽しそうにくっついてってます(笑)
山焼きで有名な若草山の麓から(有料)登って、春日山原生林を下る積りでしたが、若草山は3月15日まで閉鎖されてるんですね。知りませんでした。
なので、若草山の登り口近くの「春日山遊歩道入口」からスタートします。
(歩きやすい道)
若草山は342mと低い山ですが、山焼きをすることもあってか木々が無いので見晴らしがいいんです。ただ、夏場に登るのは日差しを遮るものがないので暑い!
原生林に足を踏み入れると背が高い樹木が。
幹周りが5~6mもありそうな木も。
樹木にも寿命があります。
また、虫や菌、強風など、
何らかの影響を受けて命を終えたものもあるかも知れません。
(倒木)
倒木には苔が生え、花粉や種が宿ると倒木更新が始まります。
人が環境を壊さない限り、この豊かな森が絶えることはないんですね。そしてこの森は、多種多様な植物や昆虫、鳥類、動物のすみかになり続けて来たんですね。
若草山の頂上はオールシ-ズン解放されています。
緑の中に東大寺の大仏殿が小さくみえますね。低山なのに奈良の町並みが良く見えます。いや?低い山だからこそよく見えるでしょうね。
その若草山の頂上付近、馬酔木がたくさんの花を咲かせています。
さて、若草山のてっべんに立ち寄りましたが、再び原生林に囲まれた道を歩きます。
歩いていて見かけた、木の幹に貼られたラベルの《ウッドキング》って名前が気になって調べてみました。
どうやら薬の名前で、いま問題のナラ(の木)枯れの原因になる菌や、幹の中の虫の幼虫の生育を阻害する予防薬剤を注入しているようです。
(良い意味で人の手が入ってるんですね)
京都の大文字山もナラ枯れの被害が進んでいます。伐採され切断された幹がビニ-ルに包まれて登山道脇に積まれているのを見かけます。
これは何かと思ったら・・・
2~3年前に訪れた時には立派な姿を見せていたと思います。切り口の色からすると、倒れたのはごく最近なんでしょうか?
淡い淡い薄ピンクの上品な花をつけている姿を観てみたかった。
200年近く生きたんでしょうか? 「いつまでもあると思うな・・・」じゃないけど、今更ながら、永遠というものはこの世に存在しないんですね。
3方向への道。
一番右が歩いて来た続きの春日山遊歩道だけど、きょうは真ん中の道を下ります。
物騒な名前で呼ばれる「首切地蔵」。
何でも、柳生宗矩に剣術を学んだとされる江戸初期の剣豪、荒木又右エ門が試し切りにこのお地蔵さんに切りつけたとか。
確かに首には亀裂が入っていますが、大切な剣が刃こぼれするし、バチも当たるのでそんなことしないでしょ!?と思いますが、さて真実は?
春日山遊歩道から外れたその道は、ややこしい3つの道の名を持つ旧柳生街道(滝坂の道・東海自然歩道)。奈良と柳生の里を結ぶ街道で、物資や剣豪が行きかった道。
道は鎌倉時代に既にあり、石畳が敷かれたのは江戸時代にさかのぼるようです。
そんな下りの石畳は歩きにくく、それなりの年齢なので捻挫やつまづきに気を使っていると、ペースダウンだけでなく何か疲れました(笑)
「趣味は?」って尋ねられたら、「山下り」って答えていましたが、最近は筋力、体力共に衰えを隠せず、そんな冗談のような本気(笑)も言えなくなってきました⤵
旧街道を抜けると住宅が現れて舗装された道に入ります。そんな道は好きじゃないけれど、この時ばかりは不揃いの石畳を抜けて、ホッ
こうして緑豊かな道を歩けるのは、
目にも心にも優しくて、とても気持ちのいいものです。