一生火事にあわないと

 

京都の家庭や飲食店でどこでも見かける「火迺要慎(ひのようじん)と書かれたお札。大阪育ちの私には全く馴染みがないですが、一旦そんなご利益があると知ってしまうと・・・

 

9月27日、トンネルとトンネルの間に流れる保津川(?)の上に設けられたJR山陰本線(嵯峨野線)の保津峡駅で下車し、目の前から運行している京都府右京区の水尾自治会が運営しているマイクロバスで愛宕山の登山口に運んでもらいます。
両親に連れられる孫の2歳11か月の長男と、4か月になる次男の愛宕神社へのお参りに、私達爺婆もハイキングがてらのお供です。

ただ不測の事態とはよく起きるもので、バス乗り場に貼り紙が・・・臨時運休の文字が目に ガーン後から聞いた話では、水尾の自治会で運転手を務める方がお1人だけで、その日はどうしても他用を外せず運休することになったそうです。それは仕方がありません(笑)

が・・・、うぅ~ん参った、さてどうするさ?

標高70mに位置する駅から約4キロ弱の登山口までの間、楽をする目論見が見事に外れ、嵐山方面への変更案も出ましたが、予定通り愛宕山の頂上にある愛宕神社に向かうことに。

 

登山道に着くまではお父さんに担がれ楽そう(笑)私達には涼しく吹く風が慰めです。

 

 

 

水尾の集落はゆずの栽培が盛んで「柚子の里」を謳います。点在する料理屋さんにはそれぞれ柚子風呂と鍋の文字が看板に。のどかな風景に秋の七草のひとつ、藤袴の白い花が風に揺らいでいます。

 

 

山から下りて柚子風呂につかり、鳥の水炊きなんていいですよね(笑)

 

大好きな柚子胡椒やその他の柚子商品が自動販売機で売られているのでさっそく購入。

 

 

こうして水尾の里まで緩やかに登ってきましたが、登山道はここから(笑)

農作業の手を休めて「ぼく何歳?」って声を掛けてくれた男性。年を伝えると「3歳にぎりぎり間に合ったな、がんばって登りや」って励まされ、孫は照れ照れ照れ


きょうは夕方6時頃から雨予報、あまりのんびりもしてられません。さぁ、さぁスタート!
孫の次男はお母さんが抱っこ、長男は時折担がれて両親は大変。

 

普段から山や自然遊びが好きな二人のようですが、やはり子供への災いを取り除く思いがパワ-となるのでしょうね。今の私は自分の身ひとつを持て余します(笑)

 

 

京都の皆さんはこうして登られる方が多いんでしょうね!?

 

 

清滝からの本道に合流する「水尾分かれ」までの道からは、時折亀岡市街が見えます。本能寺の変の直前、明智光秀も先勝祈願を行う為に、この道を愛宕神社に向かって進んだのかな?などと思いを馳せてみます。

 

『時(土岐)は今、天が下知する 五月かな』

 

 

水尾分かれで清滝方面からの道に合流すると、参道らしく道幅も広々。

 

 

かつて水尾の女性が樒を運んで神社に供えた後、ここで販売をした花売り場跡。

(火伏(ひぶせ)の神花樒の売り場)

 

毎日、樒の葉を一枚ずつおくどさん(かまど)にくべると、火事にならないと言われているようです。神社にお参りの後、土産にしたとあります。

 

 

現代では、おくどさんのある町家が減り、同時に火事の原因で多かった蚊取り線香や、寝たばこの要因も少なくなりました。

 

 

ただこういう習慣や言い伝えは破りにくいものです。今でも樒を買い求める人がいるというのは頷けることです。私たちが孫と共に火伏せを願いここに参らせてもらうのも意味合いは同じことです。

 

清滝からの参道を40分割。ここは33。

 

 

山門に到着

 

ぐずったり、笑ったり、何だかんだで孫も7~8割は自力で登ってきました(笑)

 

予定より遅くなっているので上にある本殿へのお参り前に遅い昼食を。孫には褒美のリンゴジュ-ス。抱きかかえると嬉しそうに自販機のボタンを押します(笑)

 

私の分として、おにぎりを1つおにぎり結んできましたが、やっぱり2つおにぎりおにぎりにすれば良かったと思うこと毎回。

 

もうひと踏ん張り!本殿はこの階段の上。

 

一旦休憩を挟むと足は重くなるし、気合を入れ直すのも一苦労。

 

 

日本天狗に数えられるとされる「愛宕太郎坊」

 

鞍馬の天狗は有名だけど・・・、ただ、この天狗さんは神通力が凄いらし

 

本殿。

 

しっかりとお参りしました。あとは本人が災いを招かないように様々な事に対して正しく生きて下さいね。

 

 

お参りのあと、息子夫婦は「火迺要慎」の札を貰っていました。学生時代からこう言うことには無頓着なイメージでしたが、子供を授かった事を含めて、息子もそれなりに年を重ねたんだと・・・

 

 

帰り道、冷たい風が吹き、ポツリ、ポツリ・・・

少し雨の降りだしが早い。

 

 

水尾分かれの休憩所で皆思うことは同じ。

出だしの自治会バスに乗れていたら今頃は麓に・・・(笑)

 

 

 " たられば "は考えても仕方のないこと。そんなことより、少々足元に注意がいる清滝方面に下りるのか、それとも来た道を戻るのか、決断しなくては!

 

出来ればもと来た道で水尾に下りたいので、タクシ-会社に水尾に迎えに来てくれるのかを問い合わせます。その間、ものの5分もしない内に徐々に雨脚が強くなり始め本降りに・・・雨

 

因みに保津峡駅は京都市ではなく亀岡市に位置するらしく、京都のタクシ-会社が京都市の水尾に迎えにくるのは問題ないけど、下車するのが亀岡市にある駅となると規約上出来ないのだと。亀岡市のタクシ-会社も、時間指定の迎車は無理で、その時に空車があるかどうかも断言できないと。

 

 

急な雨はどこのタクシ-会社も大忙し。子供を抱いてはいるものの、これは足元に注意して公共バスの運行がある清滝に下山するしかありません。

 

 

雨に濡れた粘土質の土を避け、ごろごろ石に気を付け、不規則な段差のつまづきに注意を払い、ずぶ濡れになりながらも何とか登り口に到着。皆何事もなく、ホッ(笑)

 

 

途中、下りも終わり近くなって規則的に成形された階段に差し掛かり安心したとたん、ツルリと立て続けに3度も尻もち。2度あることは何とやら。

 

 

 

幸か不幸か雨も今頃小雨に・・・

無事にお参りできたことに感謝し家路につきました。

 

 

翌日・・・、まだ若い父母は筋肉痛に悩まされ、爺婆は筋肉痛がないことを嘆き(笑)

 

爺婆、けっして鍛えているからではありません・・・