【昇級審査 審査基準についての補足説明】
テコンドーでは同じ技が審査項目に入り続けます。
例えば、最初、白帯から黄色帯に昇級する際に審査される回し蹴りは以降、ずっと黒帯になる時にも審査項目に入り続けます。
それでは、
白帯から黄色帯に昇級する時の回し蹴り
と
赤帯から黒帯に昇段する時に回し蹴り
は同じ基準で審査されるのか?
と、言えば異なります。
もちろん、回し蹴りにおける採点ポイントは同じです。
但し、上に上がれば上がるほどより高い精度、練度が求められます。
これは蹴り動作だけでなく、型動作などでも同様です。
例えば黒帯に昇段するためには課題となる太極8章の型動作プラス、太極1章から7章のうちのどれかがランダムで課題となります。
太極1章が課題となることはほとんどないですが、もし仮に課題となった場合には、黒帯レベルの精度と練度が求められます。
ここで言葉の補足ですが、辞書を見ますと
・精度は、精密さや正確さの度合い。
つまりどれぐらい正確に教科書的なポイントを守れているかが採点されます。
・練度は、訓練を重ねて身に着けた知識や技術の到達度、熟達度。
つまりどのぐらい繰り返し練習、稽古してきたかが採点されます。
この武道における精度と練度については以前に記事にしているのでそちらをご覧ください。
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武道において、曖昧ながらもかなり重視されるのが練度だと個人的には思います。
年を取り、肉体的には筋力も衰えながらも、技のキレや迫力がある方々はこの練度が圧倒的に高いと言えます。
ちなみにこの練度について分かりやすいのがこちら
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このレベルになると拳の握り型、突き出し方、体の連動のさせ方などの教科書的な正確さ、精度とは別次元になってきます。
また高いレベルでなくても、その人なりにどれほどの練習、稽古をしてきたのかも練度に現れます。
例えば教科書的なポイントは上手く守れていなかったとしても、その人なりに練習、稽古を積み重ねてきたのかの練度が伝われば、それを評価します。
少し極端な例ではありますが、義手、義足、車椅子など身体にハンディキャップがある方を昇級審査する場合には、練度の比重が高くなります。
なお、武道の審査におけるこの練度はポジティブな面とネガティブな面があります。
ポジティブな面では、前述の身体にハンディキャップがある方でも努力次第で昇級できるというものです。
その一方でネガティブな面は、精度と比べて練度の採点は曖昧かつ主観的になることです。
技術的には基準を満たしているはずなのに審査に落ちてしまった場合は、練度が主な理由となると思うのですが、この場合、本人も周りの生徒さんにとっても納得がいかず不信感を生むリスクがあります。
この精度と練度をそれぞれどのぐらい求めるのか、
また精度と練度のどちらをより重視するのか、
については指導者(師範)やその教室(道場)によって異なっています。
そのため個人的には指導者と相性の合う教室、教室の方針が明確でそれに納得できる所で習うのが良いと思っています^^
追伸
練習と稽古の言葉の違いについてはこちらのサイトに説明があります
私がどちらかに定めていないのは、テコンドーはオリンピック正式種目としてのスポーツ的側面と、武道的側面の両方があるからです。
教室と道場の違いも私の中ではありますが、この話はまた別の機会にします^^