だいぶ日が開いてしまいましたが、
三回目のエピソードです
入院生活は、
私にとっていろんなことを、
教えてくれた時間なので、
少し短く、細かく書きたいと思います
2010年2月16日
この日から入院となりました。
部屋は、六人部屋。
私は真ん中のベッドで、
入って瞬間に思った。
「おばあちゃんばかりだな…」
と。
その後、分かるけど、
20代は私一人で、
その次に若いのが60歳の、
おばあちゃんだった。
一番上は、
83歳。
私は孫と同じくらいの年だった。
私は事前に買っていた”ひよこクラブ”を、
読んでいた。
半年になった娘。
本来なら離乳食の時期だけど、
とても、育児と家事とをやりつつ、
離乳食までやると、
大変だからと、
私が退院してからやることになっていた。
そのため、
本を見て勉強しようと思っていた。
私は子どもの時、
肺炎で入院していたことがあった。
だからか、
入院に対して抵抗はなかった。
でも、あの時と違うのは、
手術があること。
事前に聞いた手術の話…。
そもそもこの時点では悪性か良性か分からなかった。
そのため、どうなるかは終わらないと、
知ることができない。
episode2でも書いたが、
顔の神経もどうなるか分からない。
気にしないと思ったけど、
やっぱり気になる。
傷も結構切ると言われたので、
傷跡はどうなるのか…。
それよりも、
悪性だったら…。
考えても、時間が過ぎていかないと、
結果は見えてこない。
”早く帰りたい”
そう思っていた。
夕方、術前の話し合いがあった。
娘は旦那の実家に見てもらい、
旦那が病院に来た。
今の腫瘍の状態、
手術の事、
当日の流れ、
麻酔や薬のことなどなど、
確認も含め、
先生は話した。
話しが終わると、
旦那は娘が心配だからと、
すぐに帰った。
私は部屋に戻り、
また本を読んでいた。
すると、
病室の一人が声をかけてくれた。
「こんにちわ、どこが悪いの?元気そうなのに。」
60歳のおばあちゃん、Mさん。
「あ、ここに腫瘍があって、明日手術なんです。」
と、答えた。
Mさんは、大きなマスクをして、
点滴を押しながら歩いた。
「本読んでたのに、ごめんなさいね。
同じ部屋なのに声掛けないの、嫌なの私。」
と、マスク越しでも分かるくらいの笑顔で、
そう言ってくれた。
「手術、頑張ってね。」
と、会釈してベッドに戻って行った。
病室のカーテンは、
私以外、みんなオープンで、
真ん中ということもあって、
自然と私も閉めていなかった。
病室内には、話し声と笑い声があった。
声をかけてくれたMさんのおかげで、
少し楽になれた。
Mさんの病気が分かったのは、
そのあとすぐ。
「でも、手術したら終わりでしょ?」
と言われ、
「まだ、悪性か良性か分からないそうで、
悪性の可能性があるから、取るみたいです。」
と、言った。
「そうなんだ、私も最初はそうだったよ。
でも、検査して悪いものだった。
手術が出来ないから、薬で、治療してるの。」
Mさんは”悪性リンパ腫”と、言った。
「でも、あなたは若いし、大丈夫よ。傷もすぐ治るよ。」
と、言ってくれた。
夕飯の時、知った。
普通のゴハンを食べてるのは、
六人中、三人だった。
他の人は”流動食”というのを、
していた。
私はこの入院で、
本当にたくさんの”大事”を学んだ。
”普通”の大切さや、
”命”の尊さ、
”生きること”の強さも、
Mさんたち病室のかたに、
教えていただいた。
そのことは、
次回以降、書いて行こうと思う。
こうやって、
入院初日は終わった。
久しぶりの一人のベッドは、
本当に寂しかった。
添い乳しながら寝ていた6カ月。
居ないと分かっていても、
寝返りの時、隣を気にしてしまう。
そして、その度、
「そうだ、(娘は)居ないんだ。」
と、実感していた。
なかなか寝付けなかった。
覚えていないが、
最後に時計を見たのは、
深夜1時は過ぎていたと思う。
~続く~