12月9日
15時過ぎにナースステーションで先生からの厳しいお話がありました。
この日は仲のいい高校の友達が来てくれるようになってました。
16時過ぎに友達が来てくれました。
1人は昨日も来てくれ、もう1人は夫のことが心配でわざわざ東京から駆けつけてくれました。

夫がよく遊んでいた友達。
夫のために、たくさん動いてくれた友達。
本当に夫はいい友達に出会えて幸せですね。

なかなか会話をする事は厳しかったですが、
「話せなくてゴメン」と苦しかったはずなのに一生懸命言っていました。
本当に周りのことを気にかける優しい夫です。
友達を見て、ニコッと笑い、手は麻雀をしてるような動きをしていました。

そして友達達が帰る時、友達にした夫の力強いガッツポーズとハイタッチ、本当に力を振り絞ったと思います。
今でもあの光景が目に焼き付いています。

夕方、子供達と義両親、私の両親が病院に駆けつけました。

そして夜、夫の手を握っていると、夫は私を引っ張りギュッと抱き寄せてくれました。
あの温もりを私は一生忘れないと思います。

22時くらいからだんだんと痰が絡むようになり、吸引をしてもらいました。
夫は嫌がっていましたが、少し楽になり、また痰が絡んでを繰り返しました。
娘が「お父さーん」と声をかけると、きちんと夫に届いていて、娘を見て答えようとしてくれました。


12月10日
朝3時くらいになり、看護師さんから
「今、少し落ち着いてあるので奥さんも横になってください」
と言われ部屋のソファーに少し横になりました。
しばらくしてバタバタと看護師さんが入ってきました。
「呼吸が少し弱くなっています。家族の方を呼んでください」
別の部屋で仮眠を取っていた家族に連絡をしました。
夫の手を握り夫の名前を叫びました。
夫の口が開きました。何かを伝えようとしていました。

そしてしばらくして夫の左目から一粒の涙が流れ静かに眠りにつきました。

私は泣き崩れ、しばらく夫の名前を呼びました。

最後は苦しむ事なく安らかに眠りにつくことができました。

本当に本当に最期の最期まで夫らしく頑張りました。
本当にありがとう。