「恋しくて…」



*22*



本日の撮影は、写真集と最新作のアルバムのジャケット撮影も行う。

撮影場所は、有名ブランド店も並ぶ5番街
メンバーカラーをアクセントにした衣装を着たA.N.JELLのメンバーは、ソンミンの指示に従ってポーズを次々と撮っていく。
メンバーの撮影が終わると、個々の撮影へ。
衣装をチェンジしての撮影がはじまる。
ティファニーの前では、サングラスを片手にオードリーヘップバーンを真似たポーズを取っている。オシャレな街並みを背景に撮影をしていく。

「OK!一旦、休憩しよう」

最後は、テギョンの撮影で終わる。
テギョンは撮影が終わっても、ティファニーのウィンドウの前で立ち止まっていた。


レストランに入って、少し遅めの昼食と休憩をする。
ミニョは早めに食べ終えると、スケジュールの確認をしていると、肩を叩かれた。

「あ…あ…テ、テギョンさん、ど、どうしました?」

「ちょっと付き合え」

昨夜のことを思い出してひとり慌てるミニョをよそに、テギョンはミニョの腕を掴み連れ出した。

テギョンはレストランから出ると、先ほど、撮影をしていたティファニーの前に来た。

「え、え、あ、あの、入るんですか?
こんな格好じゃ…ちょっと…」

ミニョは、ノーメイクでざっくりとまとめた髪。黒縁メガネにチェックのロングシャツにスキニーパンツ、コンバースのスニーカーというカジュアルな出で立ちだった。
それでもテギョンはミニョを連れて、ショップ内へ入って、2階フロアに向かった。
テギョンは、流暢な英語で店員に話しかけると
店員は頷く仕草をみせると、テギョンとミニョを椅子に座らせた。

「あ、あ、あの…テギョンさん…」

状況が把握出来ず、戸惑ってるミニョの前に用意されたのは、ダイヤが輝くエンゲージリングだった。

「また、離れるんだ、約束ぐらいさせろ。」

テギョンはミニョの左手を握ると、ミニョを見つめるとニッコリと微笑んだ。

「コ・ミニョ、俺と結婚しろ」

ニッコリと微笑むテギョンに、一気に体温が上がっていく。
どうすればいいか、ミニョはわからず咄嗟に鼻を押さえていた。

「相変わらずだな、ブタウサギ。
で?返事は?ノーでも受け取ってもらうけどな。」

ニヤリと笑ったテギョンは優雅な手つきで、エンゲージリングを取ると、ミニョの左手薬指に嵌めた。
ダイヤモンドがキラリと輝くエンゲージリングを見つめながらミニョが呟く。

「いいんですか?」
「何が?」
「私で、いいんですか?」
「何を、今更。
  俺にはお前だけだ。お前だけを愛してる。」

テギョンはミニョの手の甲に恭しく口づけをした。感極まって、ミニョは顔を覆って泣き出してしまう。

「わ、私も……私も、愛してます」

「ああ、なくすなよ。」

テギョンは嬉しそうに笑いながら、ミニョの涙の粒を指で拭っていたが、
ショップを出ると、ミニョの左手薬指に指輪はなく、代わりにエメラルド色の紙袋をぶら下げていた。

「こんな高価なもの、なくしたら大変ですから。仕事中は出来ないし…」

と、困ったように口をすぼめたミニョが徐に指輪を外していたのを、テギョンも口も尖らして見ていたのは言うまでもなく…

最後は、夜のタイムズスクエアで撮影をし、ニューヨークでの撮影は無事終了した。
テギョンたちは、明日の飛行機で帰国をするため、ミニョを誘って、テギョンたちはレストランで食事をした。和やかな雰囲気のなか、テギョンが立ち上がった。

「みんなに、話がある。」

テギョンへと視線が集まる。

「コ・ミニョと結婚する。」

テギョンの発言に、反応は様々だった。

シヌは小さなため息をつき、ワンは、隣にいたマ室長をヘッドロックして大いに喜び、

「おめでとう、ヒョン!!」
ジェルミは、テギョンに飛び付こうとしたが、頭を叩かれ、テーブルに撃沈していた。

ミニョの隣に座っていたミナムは、真っ赤な顔で恥ずかしそうに俯いてしまっているミニョの頭をグリグリと撫でていた。
「良かったじゃん、ミニョ」
「うん、ありがとう…お兄ちゃん
……反対しないのね?」
「反対した方がいいか?」
「え!?」
目を丸くして驚いているミニョに、ミナムは笑って、ミニョの肩を抱くと頭をくっつける。
「ウソだよ、お前が幸せだったら、それでいい。幸せなんだろ?」
「うん。」

「コ・ミナム!!ミニョに触るな!!」
「テギョンヒョン、独占欲強すぎ。」
ミナムはテギョンに見せつけるようにくっつけた頭をグリグリしてる。
それをテギョンは三角の目で怒り、ミニョはクスクス楽しそうに笑ってる。


ニューヨークの最後の夜は、ニューヨークの夜景のように賑やかに更けていった。














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